近藤商店(聖篭町)がロシアビジネスを相次いで立ち上げ
ウラジオストク近郊で進む牧草輸入事業
「鮭ほぐし」など水産加工品の製造販売を手掛ける近藤商店(聖篭町)がロシア関連のビジネスに相次いで取り組んでいる。
一つは、ウラジオストク近郊での牧草輸入事業だ。既に、現地の18農家と栽培に関する契約を結び、約8万ヘクタールの農地で牧草の育成に着手している。育成が順調に進めば1ヘクタール当たり約5トンの収穫が見込め、収穫した牧草を(同社がウラジオストクに建設予定の)燻蒸施設で乾燥させると約3トンになるという。手始めに約1万ヘクタールの農地で約5万トンの牧草収穫(乾燥後3万トン)を見込んでおり、最終的には約8万ヘクタールの農地全体を活用して計40万トンの牧草(乾燥後24万トン)を収穫する見通しだ。
取締役会長の近藤毅彦氏は、「燻蒸施設については現在、JBIC(国際協力銀行)や県内の地方銀行と協議を行っており、可能ならば来年1月には建設に着手し、同年7月には完成する見込みで、既に輸送に関するパートナーにも目途がついています」と展望を語る。
現在、輸入牧草は、米国産、カナダ産、オーストラリア産だが、国内畜産業にとって必要な量の6~7割しか入っていない。加えて、トランプ大統領の就任後、米国産牧草の値段は高騰し続けており、飼料がコストの多くを占める国内の畜産業を圧迫し続けている。「不足分だけでもなんとか補えれば」と近藤氏は語る。実際、既に県内外の複数の畜産業を営む会社から引き合いがきているそうだ。
ハサン地区でホタテ養殖事業も
近藤商店が取り組むのは牧草輸入事業だけではない。今年2月には、ウラジオストク・ハサン地区でホタテの養殖事業に着手した。北海道や青森の漁協・業者などの協力を得て取り組み始めた事業だという。養殖に必要な機材は、近藤氏が自ら北海道に赴き、古くなった養殖用の網などを譲ってもらい、40フィートコンテナに乗せて小樽から現地に輸送している。
近藤氏は、「試験的に2000万個のタネとなるホタテを購入して検証したところ、想像をはるかに超え、網を破るくらいのホタテがつきました。今では約1億個のホタテが育っています。このうち半分は育て上げたい」と意気込む。
生育したホタテは現地で乾燥させ、同社製の乾燥ナマコの取引先である香港のパートナーに卸す予定。「来年後半にはベビーホタテ、その次の年にはより大きなホタテを出荷できるでしょう。2~3年のうちに、約1000トンの乾燥ホタテを出荷したい」と目標を語る。
※biz Link2019年10月10日号より転載