大倉喜八郎の別邸「蔵春閣」移築に伴い、新潟県新発田市で観光のためのまちづくり構想が始動
一般社団法人新発田歴史文化プロジェクトは4日に記者会見を開き、新潟県新発田市の東公園や清水園周辺を観光の拠点として整備する「越後新発田門前町プロジェクト」を発表した。2022年4月完了を目指す東公園への「蔵春閣」移築に端を発する計画で、同エリアの開発により年間20億円以上の経済効果を見込むという。
「蔵春閣」は、現・サッポロビール株式会社や、株式会社帝国ホテルなど多くの企業の創立に関わった実業家・大倉喜八郎が、1912年に東京向島の隅田川沿いへ建てた別邸の一部。2020年10月から、大倉氏の出生地である新発田市へ移築が開始された。
移築場所となった東公園周辺に所在する、諏訪神社や市島酒造、清水園、寺町もまた大倉氏とのゆかりが深く、同所や周辺地域の関係者から、今回の移築を期に地域の活性を目指す今回のプロジェクトが始まったという。
同プロジェクトは、「蔵春閣」から清水園までの範囲から開発を始め、その次に、新発田城や金升酒造を含む市街地エリアにまで開発範囲を拡大。バスなどによる交通網の整備も並行し、最終的に海岸付近から月岡温泉までを含む市全域を観光都市としていく構想だ。
最初の範囲では、寺社や歴史的建造物が並ぶ伝統的な街並みの「門前町」を形成していく。具体的には、「蔵春閣」と諏訪神社から、市島酒造前を通過し寺町と清水園までの通り(県道14号)に雁木や大鳥居などを設置すると同時に、飲食店などの出店ができる環境の整備を検討しているという。
新発田歴史文化プロジェクトの布村玲輔代表理事は「今の新発田市は、城は有名だが観光の『核』になる場所が無い。『蔵春閣』移築を期に、新発田市の活性化という大倉喜八郎の遺志を100年越しに開花できないかと考えた」と計画の立案と会設立までの経緯を語った。
11日には、プロジェクトの中核施設となる市島酒造の「物産館」の起工式が実施される予定である。
【グーグルマップ 「蔵春閣」が移築される東公園】
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