柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する検証の進め方に疑問を持つ市民たちが新潟県庁で会見
柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する新潟県の検証の進め方に疑問を持つ市民たち(技術委員に県民の声を届ける会共同代表など)が5日、新潟県庁で会見を開いた。
会見によると、メンバーは9月30日の県議会本会議におけるの長部登議員(会派=未来にいがた)の質問に対する花角英世知事の回答を聞き、検証総括委員会開催について県当局と池内委員長の間で調整がつかない状況に至っていることを知ったという。「池内了委員長は開催してほしいという要請をしているが、県の意向に沿う形で開催することを池内委員長が承諾しないため、調整がつかないと言っているのではないか」(メンバー)との見方を示していた。
そこで、個別の検証を総括する役割の検証総括委員会が、その機能を発揮できない現状を看過せずに話し合おうと10月9日に「緊急オンラインミーティング 検証総括委員会、どうする」を開催し、県内各地から26人が参加した。
ミーティングでは、3つの検証と検証総括委員会発足時に提起されていた役割などを過去の議事録(知事答弁など)をもとに振り返り、検証総括委員会がどのような役割を果たすべきかを議論。
その議論をもとに、花角知事への質問(以下の5項目)をまとめて5日に提出。また、「質問の趣旨を直接花角知事に自分たちの言葉で伝え、知事からも文書ではなく言葉で見解を聞いて、その後意見交換したい」と花角知事との面談も打診。
なお再稼働については、「再稼働できるかどうかは今回の知事への質問とは別のステップの話。再稼働に是非については総括検証委員会で見解を示してほしい」と話していた。
◎質問項目(※にいがた経済新聞編集部で要約)
・花角知事は、就任時に「3つの検証を継承する」と言明された。また9月30日の答弁では「検証総括委員会における情報共有は重要と考え、各検証委員会開催のつど、検証総括委員会委員にはその状況を伝えてきた。継承してきたと考えている」と答えた。(各検証委員会の議論を受けて検証総括委員会でも議論することが重要だと考えるが)各検証委員会の状況を検証総括委員会に伝えることで十分だと考えているか?
・第1回検証総括委員会(2018年2月16日開催)で、米山隆一知事(当時)と池内了委員長は、「情報共有」とともに、「検証総括委員会での議論の重要性」を指摘している。しかし、(米山知事時代に年1、2回の開催を計画していた)検証総括委員会はその後、今年1月22日に第2回が開催されたのみで、議論はほとんどされていない。一方、花角知事は検証総括委員会の役割について第2回検証総括委員会の時に「3つの各検証委員会において各分野の専門家の皆さんが事実に基づき科学的、合理的に検証していただいた結果について、各委員の皆様にご確認をいただき、3つの検証についての取りまとめを行っていただきたい」と説明したものの、(実際は)花角知事は検証総括委員会の議論や検討は必要ないと考えているのか。
・県の「3つの検証」のサイトに掲載されている口ードマップは、各委員会から中間報告が検証総括委員会に提出され、議論を経て各委員会にフィードバックされ、それを繰り返して最終的な報告書がまとめられる旨の図となっている。しかし、昨年には技術委員会が、今年に入って生活分科会が検証総括委員会の議論を経ないで報告書を知事に提出した。県当局が口ードマップを崩すに至った経過と理由を説明してほしい。
・技術委員会の福島事故検証は、柏崎刈羽原発の安全性の確保を目的として、長年取り組まれてきた。花角知事は「安全対策確認は技術委員会のタスクである」として検証総括委員会に安全対策確認の報告を提出する必要はないとしている。(確かに福島事故検証は技術委員会の仕事ではあるが、)表裏一体である事故検証と安全対策確認を切り離す理由(検証総括委員会で議論しない理由)を説明してほしい。
・新潟県原子力安全対策課は、技術委員会と健康分科会が提出した報告書について「県民への説明・意見交換」を行うことを10月29日に公表した。しかし、県民への説明については、各検証委員会の委員長、座長などで構成されている検証総括委員会が中心となった「3つの検証についての説明・意見交換」を実施すべきではないか。
【関連サイト】
新潟県「福島第一原発事故を受け、県が進めている原発事故に関する3つの検証について説明し、意見交換を行います」(2021年10月29日)