株式会社帝国データバンク新潟支店が新潟県企業「休廃業・解散」動向調査(2021年1〜9月)、休廃業・解散企業は754件
株式会社帝国データバンク新潟支店は、新潟県企業「休廃業・解散」動向調査(2021年1〜9月)の調査結果を公表した。
帝国データバンクが調査・保有する企業データベースのほか、各種法人データベースを基に集計した。休廃業・解散企業とは、倒産(法的整理)によるものを除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態の確認(休廃業)、もしくは商業登記などで解散(みなし解散を除く)を確認した企業の総称。調査時点での休廃業・解散状態を確認したもので、将来的な企業活動の再開を否定するものではない。また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計することもあるという。
調査結果によると、2021年1月から9月における新潟県内の休廃業・解散企業は、754件だった。前年同期(783件)と比較すると29件(△3.7%減)少なく、2年連続で減少した。これは、コロナ禍の資金繰り支援策として推進された実質無利子・無担保融資の効力が続いたほか、各種給付金などが事業継続意欲のある中小零細企業を下支えし、休廃業・解散を抑制した結果という。
ただ新潟県の企業倒産件数が前年同期(62件)から大きく減少(△33.9%減)した一方、休廃業・解散の減少率(△3.7%減)は僅少にとどまった。休廃業・解散の件数は企業倒産の18.4倍におよんだ。
業種別では7業種中4業種(建設、小売、不動産、運輸・通信)で前年同期を上回った。なかでも運輸・通信(12件)は件数自体少ないものの前年同期(2件)との比較では6倍と大幅に増加した。他方、製造、卸売、サービスは減少。製造は前年同期比12.9%減と7業種のなかで最も減少した。
業種中分類別にみると、総合工事(41件)が前年同期から1割以上減少した一方、下請形態が中心の職別工事(80件)が同1.8倍と大きく増加し、建設全体の過半数を占めた。このほか木材・建築材料卸売(14件、前年同期比55.6%増)、旅館・宿泊所(7件、同75.0%増)などが増加した。
今後の見通しについては、新型コロナウイルスの感染拡大は落ち着きをみせ経済活動の正常化が期待されているが、感染防止策として広まった「新しい生活様式」が1年半以上にわたって深く浸透し、コロナ前への完全な揺り戻しが期待薄な業態は多い。また足もとでは、燃料・原材料価格が上昇しているが、中小零細企業を中心に販売単価への転嫁が難航し収益性や資金繰りへ与える影響が懸念されている。
さらに、経営者の高齢化や後継者不在といった個別課題を抱える企業もあり、これらは資金繰り支援では解決できない側面がある。こうしたことから財務面が劣化する前に事業に終止符を打つ事例が休廃業・解散件数を上積みする可能性もあるという。