市島酒造株式会社(新潟県新発田市)が新施設の起工式、「門前町プロジェクト」の第1弾に
市島酒造株式会社(新潟県新発田市)が11日、敷地内へのカフェとオープンテラス設置工事に伴う起工式を執り行った。新発田市内の民間が考案する「越後新発田門前町プロジェクト」の幕開けとし位置付けられ、観光都市形成への機運が高まる。
一般社団法人新発田歴史文化プロジェクトでは、新発田市出身の実業家、大倉喜八郎の別邸「蔵春閣」が市内に移転されることを期に立ち上がった団体。「蔵春閣」が移転される東公園周辺は諏訪神社、市島酒造、清水園、寺町などの観光資源が存在していることから、歴史的な景観を整備することで町歩きのできる環境をつくり、観光の拠点にしていくことを目指す。
同団体ではまちづくりの一案として、「蔵春閣」から寺町通までの歩道約180メートルに雁木と、かつて存在していたとされる諏訪神社の大鳥居の設置を考案している。計画の実現に向けて今後は、同所の住民などからの許可をとっていくことが課題となる。
新発田歴史文化プロジェクトの布村玲輔代表理事は記者説明で「これまでの新発田市街地は、月岡温泉から村上へ行く時に立ち寄る場所だった。滞在型の観光ができる町に激変させるために取り組んでいきたい」と意気込む。
市島酒造ではこのプロジェクトに先立つ取り組みとして、施設内にトイレを新設。そして今回、現在諏訪神社側にある建物を一部解体し、カフェとテラス席を設置する工事を開始する。工事の起工式には、新発田市の二階堂馨市長、大倉喜八郎のひ孫にあたる中央建物株式会社の大倉喜彦代表取締役社長が出席した。
さらに市島酒造では、敷地内の4つの蔵を改装して物産館などとしていく計画を進めている。物産館は観光都市の中核施設となっていく予定だ。今後計画される町の景観に符合するよう歴史を感じられる外観や梁・柱は残しつつ整備し、店内では市島酒造の製品に限らず、「新発田市の歴史を感じられる食べ物など」を販売していきたいと新発田歴史文化プロジェクトの内田和明氏は話した。
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