佐渡汽船株式会社(新潟県佐渡市)が2021年12月期第3四半期決算を発表、売上高増加も依然厳しい状況続く

佐渡汽船新潟港ターミナル

佐渡汽船株式会社(新潟県佐渡市)は12日、2021年12月期第3四半期決算(期間1月1日から9月30日、連結)を発表した。

売上高は57億6,200万円(対前年同期比8.6%増)、営業利益は△16億4,200万円(前年同期は△19億2,000万円)、経常利益は△17億6,600万円(前年同期は△19億7,300万円)、親会社株主に帰属する純利益は△17億7,600万円(前年同期は△27億3,500万円)だった。

第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、旅客、航送、貨物の主要3部門の輸送量は新型コロナ前の水準と比較すると大幅に減少し非常に厳しい状況が続いた。このような状況を踏まえ、同社では輸送量に見合ったダイヤ編成にて運航を行い、観光産業に付帯するサービスを行っている連結子会社では閑散期において施設の臨時休業を行なった。

売上高については、例年5月から7月に実施される新潟県内の小学校の修学旅行が予定通り実施(前年は新型コロナ感染症拡大の影響を受け8月以降に延期され実施)されたことなどに伴い、旅客、航送の輸送量が前年同期を若干上回ったこと、国による地域公共交通確保維持改善事業費補助金の金額が前年同期に計上した金額より増加したことにより、前年同期を上回った。

しかし、同社グループにとって最盛期である8月は、新型コロナウイルス感染症拡大の第5波と重なり、売上高はコロナ前の水準と比較すると大幅に減少した。

費用については、新型コロナウイルス感染症拡大による売上高の減少に対処するため人件費やその他費用の圧縮に努めたものの、前連結会計年度における固定資産(船舶)の譲渡方針決定に伴い当該固定資産の耐用年数の変更を行ったことから減価償却費が増加したこと、原油価格の上昇および円安の進行に伴い燃料費が増加したことなどから、前年同期を上回った。

また、今年6月25日開催の取締役会において、固定資産(船舶)を譲渡することを決議し、同日付で譲渡契約を締結、7月14日に資産の引渡しを行った。これに伴い、特別利益及び特別損失が発生した。

以上の結果、増収となったものの、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、債務超過の解消には至らなかった(第3四半期連結累計期間末において22億9,957万1,000円の債務超過となっている)。

セグメントごとの経営成績は、以下の通り。

 

海運

第3四半期連結累計期間の旅客輸送人員は54万7,260人(対前年同期比4.3%増)、自動車航送台数は乗用車換算で12万8,205台(同4.0%増)、貨物輸送トン数は9万515トン(同7.1%減)となった。

売上高は、新潟県内の小学校の修学旅行が例年通り5月~7月に実施(前年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により秋に実施)されたこと、国による地域公共交通確保維持改善事業費補助金の金額が前年同期に計上した金額より増加したことにより、前年同期を上回った。

費用は、人件費や委託料などの削減に努めたものの、前連結会計年度において、固定資産(船舶)の譲渡方針決定に伴い、固定資産の耐用年数の変更を行ったことから減価償却費が増加したこと、原油価格の上昇および円安の進行に伴い燃料費が増加したことなどから前年同期を上回った。

以上の結果、売上高は39億8,044万1,000円(前年同期比12.1%増)、損失は14億7,273万2,000円(前年同期は16億5,911万3,000円のセグメント損失)となった。

 

一般貨物自動車運送

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により輸送が鈍っていること、企業などで転勤が控えられたため引越しの取り扱いが減少していることのほか、同連結会計年度は期首より新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けているため(前連結会計年度は3月半ば頃からの影響)、売上高は前年同期を下回った。

売上高は9億9,470万3,000円(対前年同期比2.2%減)、損失は1,795万円(前年同期は3,491万1,000円のセグメント損失)となった。

 

売店・飲食

売上高は、前年と同様に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けており、前年並みに推移した。セグメント損失は人件費などの費用削減に努めた結果、前年同期と比較して若干改善した。

売上高は3億8,198万7,000円(対前年同期比0.5%増)、損失は1億154万2,000円(前年同期は1億2,001万6,000円のセグメント損失)となった。

 

観光

新潟県内の小学校の修学旅行が例年通り5月~7月に実施(前年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により秋に実施)されたことにより、旅行業部門、観光施設部門ともに売上高は増加した。

売上高は2億8,087万5,000円(前年同期比27.0%増)、損失は5,379万1,000円(前年同期は1億1,132万4,000円のセグメント損失)となった。

 

不動産賃貸

テナントの解約や新型コロナウイルス感染症拡大の影響により佐渡市民が移動を自粛しているため、両津港ターミナル周辺の航路利用者用の駐車場収入が減少したことから、売上高は前年同期を下回った。

売上高は5,626万円(前年同期比14.1%減)、損失は1,570万8,000円(前年同期は1,344万円のセグメント損失)となった。

 

その他

売上高は、前年と同様に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けており、前年並みに推移した。売上高は6,778万8,000円(前年同期比0.0%減)、損失は366万6,000円(前年同期は74万1,000円のセグメント損失)となった。

 

一方、未定としていた通期業績予想を公表した。連結ベースで売上高は78億7,900万円(前年76億9,000万円)、営業利益は△19億7,600万円(同△26億7,600万円)、経常利益は△22億3,400万円(同△27億5,500万円)、親会社に帰属する純利益は△21億6,800万円(同△25億4,700万円)を見込んでいる。

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