新潟県の花角英世知事が、2026年ころ開通を目指す「八十里越」(新潟県三条市から福島県只見町)を初視察
新潟県の花角英世知事、三条市の滝沢亮市長、弥彦村の小林豊彦村長は17日、国土交通省が今後5年程度での開通を目指す、国道289号「八十里越」の工事を視察した。現在、新潟・福島間を結ぶ国道252号と49号・磐越自動車道と合わせ、花角知事は周遊観光ルート形成へ期待を寄せた。
国道289号は、新潟市中央区を起点として、太平洋沿岸の福島県いわき市へ至るが、三条市から福島県只見町を結ぶ「八十里越」の区間は、越後山脈の急峻な山々と積雪に阻まれて整備が進まず、現在まで山道のような様相を呈している。
この「八十里越」に自動車を通す取り組みは、1986年に事業化され、1989年に工事開始。延長11.8キロメートルのうち、トンネルが約9.3キロメートル(11ヶ所)、橋梁が約1.1キロメートル(10ヶ所)と大部分を構造物が占め、また山間での工事のため、工事用道路の整備や積雪時期を避ける必要があったという。
現場の視察を終え花角知事は「事業化から35年、工事は着実に進められ、ようやく出口が見えてきた。改めて大変な工事なのだと実感する」と大事業に感嘆した様子で話す。2021年3月時点で事業進捗率は約91%。国土交通省は今後5年程度での開通を目指している。
「八十里越」が開通した場合、三条・只見間の所要時間は、磐越道を使用した場合の157分から約半分の79分に短縮。加えて、冬期には通行不能となる国道252号の問題も解消される。2023年開院予定の県央基幹病院(新潟県三条市)と合わせ、南会津・西会津の地域医療の課題解決と経済交流を狙う。
また花角知事は「南会津は日光の方からも観光のアクセスがある。これを新潟へも向けていきたい。また、国道252号線を通って魚沼から只見へ戻る道や、あるいは国道49号で津川(阿賀町)の方を通るなど、広い周遊のルートができる。会津や奥日光は観光のブランドでもあり、新潟も繋がることに大きな期待がある」という。
彌彦神社や競輪場といったスポットを抱える弥彦村の小林村長も「289号線は、弥彦村への延伸もお願いしている。また、新しい観光開発を弥彦村もしていきたい」と話した。
「工場の祭典」に代表されるオープンファクトリーで観光への関心が高まる燕三条地域にとって、周遊ルートの確立は追い風になっていくだろう。また、同地域は魚沼などの「雪国観光圏」との協力があるが、こうした連携が広がるかにも注目したい。