ニットの一大産地・新潟県五泉市でオープンファクトリーのイベントが開催、地場産業活性化やブランド化を目指す
新潟県五泉市で20日から21日にかけて、オープンファクトリーやワークショップ、マルシェなどの催しが行われる「GOSEN KNIT FES 2021」が開催されている。同市の地場産業であるニットを中心としながら、地元商店街や高校生なども取り組みに加わり、地域活性化を目指す。
「GOSEN KNIT FES 2021」は今回で7回目を数えるイベントで、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化する前の2020年2月には、市内の17社がオープンファクトリーを実施し、3日間で1,739人が見学に参加。イベント全体では同じく3日間で5,667人が来場した。
今回も市内のニット工場や刺繍工場など10社が取り組みに参加。また市内の本町商店街を中心とした各店舗でも限定商品や見学などを企画するほか、五泉八幡宮境内での「ハチマンマルシェ」とライトアップ、五泉高校の生徒がニットの残糸で製作したノベルティ配布など地域内の様々な団体が催しを盛り上げる。
また、10月にオープンした複合施設「ラポルテ五泉」では、ハンドメイド作家による作品販売会や小物づくりのワークショップを開催。イベントは地域内の各所で行われているため、市では巡回バスも用意する。
市内の製造生産額の約18%が繊維関連業種が占め、ニットの生産が盛んな五泉市であるが、近年は輸入品の流入や海外ファストファッションの国内進出などに伴い苦戦を強いられる。また、OEMが主であることから、五泉という生産地が表に出づらい面がある。
こうした状況の打開に向け、五泉ニット工業協同組合では2015年から「五泉ニットブランド化事業」を開始。地場産業の持続化へ向け、ECでの販路開拓や人材育成などに取り組むと同時に、地方創生や産業観光を狙って始まったのがニットフェスだ。
五泉ニット工業協同組合事務局の髙橋正春局長は「今回で7回目ということで、着実に繋がってきている実感がある。このイベントをきっかけに、県外の人が移住してニット生産の業界へ入ってきた例もあった」と手応えを語る。
ファッション業界と生産の現場にはギャップもあるが、そうした現状を知る機会にもなっているという。また、今回のイベントに際してYouTube上で上記移住者も交えた就職移住の座談会が公開される予定だ。
金属加工業の盛んな燕三条の「工場の祭典」など、近年「産業観光」が注目されつつある。五泉でもその流れを汲みつつも、地元商店や学生との積極的な参加や、ファッション関連ならではの客層の違いなど、独自色も目立つ。五泉の地方創生はもちろん、地場産業が多い新潟県内での産業観光の広がりや、各地域間での連携にも注目していきたい。
【グーグルマップ 「LOOP&LOOP」】
【グーグルマップ 「ラポルテ五泉」】