【インタビュー】新潟県妙高市の入村明市長、「上越市との合併はできるところからやるべき」
コロナ禍のテレワークで注目を集めるワーケーションを先進的に進める一方で、青山学院大学陸上部のスポンサーになるなど、新潟県上越地域でもひときわ存在感をアピールしている新潟県妙高市。その首長を5期務める妙高市の入村明市長に市政運営について聞いた。
青山学院大学の妙高市ロゴユニフォームについては、「妙高高原のグラウンドが劣悪だったが、北京オリンピックの走路と同じ仕様で作った。かなりお金がかかって反対を受けたが、作った結果、今の箱根駅伝のシード校で妙高市に合宿に来ていないのは順天堂大学と東洋大学くらいだ。今年もコロナウイルスの影響で、例年より少し落ちていているが、6割くらいは来ている。青山学院大学の原晋監督が今年の春に妙高市役所に来た時、『来年1月の箱根駅伝も妙高市のロゴが入ったユニフォームで走ります』と宣言した」と話した。
ワーケーションについては、「コロナウイルス前から取り組んでおり、その時はテレワークという言い方をしたが、少し誤算があった。国を挙げてまさか昨年あたりからどっとテレワークが出てくるとは思っていなかった。コロナウイルスで予定が狂い、これには慌てた。私は『都会と同じ思考をやめよう』と言って、自然の中で人間性を回復したり、社員のスキルアップをやろうと狙ったりして、ラーニング型ワーケーションという方向を決めた。仕事をしつつ、渓流釣りやスキー、温泉、ランニングコースなどを提供するメニューを作ったが、昨年の1年目はコロナウイルスで来ず、大番狂わせだった。今年も少しは動いているが、今は来年のオープンに向けてテレワーク研修交流施設の建設がスタートしたところだ」と語る。
また、入村市長の考案で設置した10億円規模の感染症対策基金については、「3回目のワクチンはひょっとしたら、国の財政が厳しくなってくる危険性を考えた。妙高市では薬代や周りの経費を考えると、1回で約1億円がかかる。10回分くらいとっておくかというのが最初だ。財政調整基金もこの規模で行くと、20億円ちょっとでいいくらいだが、現在約50億円ある。私の責任の間は、絶対に市民の生命財産を守り抜くというのは当たり前のことだ。万が一の時に蓄えをしておくのは大事なことだ」との方針を示した。
一方で、隣接する上越市の一部から話が出ている妙高市と上越市との合併については、「総務省で30万人のくくりを10万人にし、現状では行政サービスは滞らないという1つのくくりにした。合併するかと言っても簡単にはいかない。ただ、一緒にできるところはやるべきだ。最終的には離合集散が必ずあるのではないか。一気に合併というと抵抗がある。医療体制や福祉施設などできるところからやるのがいいだろう。合併の際は、国が主導するのだろうし、その前の助走期間でできることをやっておいた方がいいのではないか」と考えを語った。
最後に、入村市長の発想の源について聞くと、「若い職員の話をよく聞くことだ。若い職員が勉強しているところに顔を出すことも多い。私は人が好きだ。コロナ禍前は、毎日のように若い職員と飲みに行っていた」と入村市長ならではのエピソードも飛び出した。
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(文・梅川康輝)