県立新潟工業高校1年自殺で県を提訴、遺族が新潟市内で記者会見

原告で男子生徒の父親である佐々木正さん(中央)、原告側弁護士である水内基成氏(右)および遠藤達雄氏(左)

新潟県立新潟工業高等学校(新潟市西区)1年の男子生徒(当時15歳)が2016年11月に自殺した問題で、原告である男子生徒の遺および原告側弁護士は14日、新潟市内で記者会見を行い、新潟県に対する損害賠償請求訴訟を提起したことを報告。そのうえで、訴訟の概要や訴訟に踏み切った思いなどについて語った。

訴訟は、国家賠償法1条1項又は在学契約の債務不履行に基づいて、高校の教員らが安全配慮義務を怠り、生徒のいじめ被害の訴えに適切に対応せず、生徒が自殺に至った責任を追及、損害賠償金約6000万円の支払いを求める内容。

男子生徒の父親である佐々木正さんは、「私の息子の事件が起こる1週間前、学校側は何ら措置を取りませんでした。責任を取らなければならない者が責任を取っていない状況が続いています。また、新潟県は話を単に聞くだけであり、話し合いが行われたことはこれまで1度もありませんでした。私たち遺族の気持ちはないがしろにされ続けています。もう聞くだけの対応はもう十分。実際に動いていただきたいのです」と思いを語った。

佐々木正さん

原告側の弁護士である水内基成氏は、「この度の提訴に関する報道を受けて、現場の先生方や保護者の皆さん方には、いじめへの対応について、きちんと法律に則ってできているのか、被害を訴えているお子さんたちの気持ちに寄り添って対応できているのか考える機会にしていただきたい」と述べた。

過去のいじめによる自殺に関する訴訟では、自殺の予見可能性があった、つまり結果の発生を回避するために必要な措置を講じなかったと認められることが困難であり、亡くなったことに対する損害賠償責任を問えない状況が続いているという。今回の訴訟においても、この予見可能性が争点となる可能性が高い。

水内基成氏はこの予見可能性に関して、「いじめを受けた児童が突発的に命を絶つ可能性は十分にあり得ると、既に様々な報道を通じて周知されています。予見可能性がなくても責任を問えるとの立場に司法は立つべきです。そうしなければ、青少年の命は守れません。仮に予見可能性が必要だとしても、本件について言えば、亡くなったお子さんが口頭で訴えるだけでなく、いじめの実情を自ら書き記し、先生に対応を求めた文書があります。このため、予見可能性は十分にあったと判断しています」と述べた。

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新潟県議会の委員会で遺族がいじめに関する条例要請(2019年6月27日)
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