新潟県が盛土1,132か所を総点検し今後の対応が必要となる盛土を4か所確認、うち3か所は佐渡市内の盛土
新潟県は、静岡県熱海市で発生した土石流災害を踏まえた今年8月11日付けの国からの依頼に基づき、盛土総点検を実施し、その結果、無許可かつ盛土の構造を詳細に調査するなど今後の対応が必要となる盛土(4か所)を確認した。いずれの盛土も直ちに土砂災害につながる恐れのある変状などは確認されていないという。
調査は、盛土による災害防止のため、近年形成された盛土(おおむね2000年以降で把握可能なもの)について総点検を行ったもので、机上調査、目視点検の2段階で行った行った。
盛土の点検総数は1,132か所。このうち、「許可手続きが行われていなかったが、すでに許可済みの盛土」、「許可を受けていたが、禁止事項が確認され、是正指示済みの盛土」、「無許可でかつ盛土の構造を詳細に調査する必要のある盛土」、「無許可でかつ継続して経過観察を行う必要がある盛土」がそれぞれ1か所あった。
「許可手続きが行われていなかったが、すでに許可済みの盛土」は、佐渡市羽二生にある。森林所有者が森林作業道の開設したことに伴う盛土(延長1,053メートル、高さ1.5メートル未満)。許可基準内の行為であることを確認し、許可したという。
「許可を受けていたが、禁止事項が確認され、是正指示済みの盛土」は、上越市板倉区別所にある。残土の処分地として林地開発許可したが、許可条件違反が確認され、盛土の表面や内部に廃棄物の混入などが確認された。このため廃棄物の撤去を指導し、事業者が撤去中という。
「無許可でかつ盛土の構造を詳細に調査する必要のある盛土」は、佐渡市井坪にある。砂防指定地内の最上部に約7万5,000立方メートル(面積約7,800平方メートル、高さ約55メートル)の盛土で、平成7年度から平成21年度に、佐渡市が実施した公共下水道工事および漁業集落排水工事などにより発生した残土の処分として盛土を行った。約2キロメートル下流には、井坪集落(21戸)があり、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域に指定されている。
11月19日に(一社)新潟県地質調査業協会の専門家による現場調査を実施し、直ちに盛土が崩れ、土砂が流出するような状態ではないことを確認済みで、今後は佐渡市などにて詳細調査などを実施し対策を講じる予定。
「無許可等でかつ継続して経過観察を行う必要がある盛土」は佐渡市徳和地内にある。盛土の面積は約1万2,000平方メートル、高さ約30メートル。0.7キロメートル下流に約2万4,000平方メートルの農地があるが、集落はない。佐渡市内の土砂採取業者が、平成25年から27年にかけて別の場所で土砂採取を行った際に発生した残土の処理として盛土を行った。
11月19日に(一社)新潟県地質調査業協会の専門家による現場調査を実施し、直ちに盛土が崩れ、土砂が流出するような状態ではないことを確認済みで、今後、応急対策、経過観察の実施を指導するほか、県においても定期的に現地のパトロールを行い、盛土の経過を観察するという。