中小企業に迫られる環境配慮 第３回 「顧客にとって最も良い提案を」株式会社テクノナガイ（新潟市北区）
株式会社テクノナガイ（新潟市北区）はＪＲ豊栄駅前の本社に加え、新潟市北区に笹山事業所などを構える。
これまで、環境配慮を巡る世界の潮流の加速と、中小企業がそれに対応するための太陽光発電という選択肢について、株式会社テクノナガイ（新潟市北区）の長井裕三代表取締役に話を聞いてきた。
今回は、長年に渡って太陽光発電の設備事業を続けてきた同社のこれまでと、持続可能社会を考える人々へ向けた想いを取材した。
設備工事からエネルギー関連へ
テクノナガイは１９４７年創業。当初は鉄工所として始まり、その後農機具の販売へ転換、１９７５年から設備工事事業を開始する。同社がエネルギー関連の事業に乗り出したのは２００９年。奇しくも再生可能エネルギーの買取に関する「固定価格買取制度（FIT制度）」の前身「余剰電力買取制度」が開始されたのと同年だ。
「エネルギー事業を立ち上げたころ、不安はありながらも『これからはエネルギーの時代だ』と私も先代社長の父も感じていた」長井代表は新規事業を展開した当時についてこう振り返る。
そして「その後、東日本大震災があって原発の問題が出たりする中で、日本中でエネルギーに対する考え方が大きく変わったと思う。しかし、火力発電により二酸化炭素が増えることは温暖化の要因だとも言われており、環境を守る大きなきっかけとして、二酸化炭素排出量が少ない自家消費型太陽光発電の設置を勧めている」（長井代表）という。
またテクノナガイでは、「脱炭素の取り組みは、個人の家庭よりも何十倍と電気を使う企業に動いていただくことで効果が大きくなる」と考え、家庭への太陽光発電設備も展開しつつも、企業への設置に軸足を置いている。
顧客にとって最も良い提案を
同社は基本的に、北は村上市、南は燕三条など工場が集まる県央地域まで展開する。地元ゆえに、設置前の聞き取り調査から設計施工、設置後の点検まで一貫してフォローできる体制と、雪対策などへの知見が強みだ。
またこうした地元密着の体制とフォローの手厚さから、「訪問販売業者に設備を取り付けてもらったが、電話が繋がらなくなった」などの太陽光設備関連でありがちなトラブルの相談を受けることもあるという。
一方で、前回内容でも少し触れたが、日照条件によっては設置を顧客と相談することもある。
「稀なケースではあるが、山やビルの影になりやすい場所など、日照条件が極端に悪い場合は、設置についてもう一度考えてもらうことがある。太陽光の設置によって１番メリットを受けるのはお客様なのだから、我々はお客様へ最も良い提案だけをしなくてはいけないと考えている」（長井代表）
「太陽光発電を売りたいわけではない」
前回見ていったように、太陽光発電は単なる電気代経費削減以外にも様々なメリットを持つが、その設備投資は決して安いものではない。長井代表は以前の取材より「だからこそ、『どのようにメリットがあって、どれだけ利益が出るのか』、太陽光発電について、もっと多くの人に知ってほしい」と話していた。
同社のwebサイト上には、社員による「太陽光コラム」が随時更新されている。設備に関わるプロだからこその再生可能エネルギーの専門的で最新の動向を踏まえた文章は、かなりの読み応えがある内容だ。
また、自社の宣伝ではなく、設備のメリットとデメリットを開示し、再エネの今後についても言及するなど、まさに長井代表の話す「よく知ってほしい」という理念をよく反映している。
「実は、弊社は太陽光発電を売りたいわけではない」と長井代表は話す。「ただ、現状では風力も地熱も、家庭や企業が保有するにはまだ現実的ではない。ここ１０年で最もお客様に還元できる再エネ事業だからこそ太陽光発電を推進している。ほかの技術も追いついてくるのであれば、さらに事業を展開したい」。その言葉には、何よりも顧客のメリットを考える想いが込められていた。
【株式会社テクノナガイ】
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