新潟市が来年度、ICT企業の誘致に向けてオフィスのリノベーション支援事業を開始
老朽化ビルのリノベーションでICT企業を誘致
新潟市は、オフィスビル所有者などが、ICT(情報通信技術)企業が入居できるようにオフィスをリノベーションした際に、リフォーム費用の一部を支援する事業を始める。関連予算を平成30年度の当初予算案に盛り込む。市内オフィスビルのOAフロア化や、光ファイバー敷設などを加速させることで、雇用の創出が期待されるICT産業の誘致に弾みをつけたい考えだ。
ICT産業は、今後新たな雇用創出が見込める産業の代表格で、少なからずの県外のICT関連企業が新潟市への進出に関心を示しているという。だが、これまでは、じっさい進出を果たす企業はほとんどなかった。理由は、ICT企業のニーズを満たすオフィスの不足だ。
「古町地区の旧大和新潟店跡地の再開発や、新潟駅前のマルタケビルの建て替えなどの建設が進む新潟市ですが、実は、築年数30~40年の古いビルが多く、OAフロアになっていなかったり、トイレが少ないオフィスビルが多い。これがICT企業誘致のボトルネックになっているのです」。市内の不動産関係者はこう解説する。その結果、仙台市や金沢市に奪われてしまっているのだ。
この状況を打破しようと、市の関連部署では、平成28年度と29年度の当初予算案に、ICT関連企業のニーズを満たすオフィスを増やすための「オフィス整備助成費」を盛り込もうとした。オフィスビル所有者が、OAフロア化、光ファイバー敷設、トイレ・パウダールームの改装などを行った際、500万円を上限に、リフォーム費用の5分の1を助成するものだ。
助成基準も厳格で、リフォームを行った時点で助成するのではなく、市外のICT企業と賃貸借契約を結んだ時点で、助成金を交付するというものだったという。つまり、確実に企業を誘致した場合だけ助成するというものだったのだ。
しかし、優先度が低いとみなされたのか、日の目を見ることがなく、今回、ようやく盛り込まれる運びとなった。“3度目の正直”で、ICT企業の誘致に弾みをつけることができるか?