国際石油開発帝石の越路原プラント(長岡市)のメタネーション施設が公開
合成メタンを天然ガスと代替することで、CO2削減
19日、国際石油開発帝石株式会社(INPEX)の長岡鉱場・越路原プラント敷地内に新たに完成した、メタネーションの試験設備が公開された。
メタネーションとは、火力発電所や天然ガスなどのエネルギー生産過程において排出されるCO2と、再生エネルギー電力を利用して製造した水素を合成することで、天然ガスとほぼ同じ成分であるメタンを製造する事業だ。この合成メタンは、既存のガスパイプラインにおいて天然ガスとの代替も容易であり、代替が実現すると天然ガス生産において必然的に発生するCO2を削減することが可能となる。
INPEXではこのメタネーション事業を、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)および、日立造船株式会社(Hitz)と共同で取り組んでいる。新たなメタネーション試験設備は、越路原プラントで産出されるガスに随伴する6%のCO2をメタン化するためのもので、事業所内でのCO2を用いたメタネーション試験は世界初の試み。今年9月に、試験設備の試運転が開始された。
ただし試験設備は、試験を通じて技術課題の検討および評価を実施するためのベンチスケール設備であるため、本来のメタネーションで使われるべき風力などの再生エネルギーは使われていない(通常の電力を使用)。また合成メタンを実際に、天然ガスと代替して既存のガスパイプラインに送ることも、試験設備では行われない予定。
NEDOによるとこのメタネーションの商用化は、「2030年頃が目標」とのことだ。ただし想定される商用スケールは、今のメタネーション試験設備の7,500倍のCO2を使うため、「越路原プラント内の施設のみでの商用化は不可能」だという(INPEX)。商用化された際の施設立地などが今現在、具体的に検討されているわけではないが、今の試験設備よりかなり大きな設備および立地を想定しているとのことだ。