「10年以内での県内解体業ナンバーワンを目ざす」株式会社晴耕舎 代表取締役 松本克幸氏

晴耕舎が大切にしているのは、「凡事徹底」「常在戦場」。「常在戦場」は、長岡藩の伝統的な精神だ

超ロング解体機を使った高層ビル解体

長岡市といえば花火が有名だが、10年後にはこれに「マラソン」が加わっていることだろう。実際、「ながおか縄文の丘マラソン」を主催する株式会社晴耕舎の代表取締役・松本克幸氏が、同大会を日本一のマラソン大会にするつもりである。

もちろん、晴耕舎の本業はマラソン大会ではない(ただしマラソン大会も、本業に負けず本気だ)。同社は長岡市宮本町で1976年の創業以来、建物の解体業を中心に県内で活躍してきた。創業者で現会長の深見政英氏のもとで発展を続け、今では県内で5社しかない、27メートルもの長いアームを持つ「超ロング解体機」を使った高層ビルの解体ができる技術を持つ。

2018年12月、この晴耕舎の二代目代表に就任したのが松本氏である。78年生まれで41歳の松本氏は、晴耕舎のある宮本町で生まれ育ち、長岡高校を卒業後、都内の大学に進学。新卒で新潟市内の百貨店に入社し販売や外商を経験してから、05年に地元長岡に戻り、実家の近所にあった晴耕舎に入社した。

松本克幸氏。1978年、長岡市宮本町生まれ。百貨店の販売や外商を経験し、2005年に故郷にある晴耕舎に入社。主に営業部門で活躍し、2018年12月より代表取締役。座右の銘は「NEXT ONE」。趣味はマラソン

アスベスト除去も人材育成も「NEXT ONE」

晴耕舎では営業担当として活躍し、営業部長や常務取締役のステップを経て、代表に就任。前代表時代の「良いところは伸ばして、改善すべきところは改善していきたい」と語る松本氏だが、他社がやりたがらなかったり、断念してしまったりした物事に、あえて挑戦する思い切りの良さには目を見張るものがある。

そのうちの一つが、アスベスト除去だ。60年代から80年代頃までに建てられたコンクリート物件には、その多くに有害物質のアスベストが使われている。しかしアスベストの使われた物件の解体は、とても手のかかるアスベスト除去の届出や現場作業員の資格がまず必要となるため、どの解体工事業者もやりたがらない。松本氏はそこにあえて、飛び込んだ。県内で数社しかないアスベスト除去ができる解体工事業者として受注が舞い込み、始めて二年目にして早くも事業は軌道に乗った。

一方で、表に出にくい部分ではあるが、「人材育成」についても松本氏は大きな挑戦をしている。アスベスト除去も、この「人材育成」への挑戦があってこそのものだろう。同社では、社員が仕事に必要な資格取得のための費用については、全額負担する。学校に通うのでも、通信教育でもよい。「なかなかここまで面倒を見てくれる会社はないはずだ」と話す松本氏だが、ここまで思い切って人材育成に力を入れる背景には、松本氏自身が持つ強い信念がある。

それは、「NEXT ONE」。喜劇王のチャップリンが、「今までで一番いい作品は何ですか」とインタビューを受けた時の返事だ。一番いいのは、次の作品である。松本氏自身も、社員も、次に今よりもっとよい仕事をし、成長するために一丸となって挑戦する。そのためなら、会社も全面的にバックアップする。

「晴耕舎」という社名も、松本氏のこの信念を体現していると言える。社名は前代表が決めたものだが、その意味は「晴れた日は田畑を耕し、雨が降ったら勉強して学ぶ場所」。会社は人を育てる勉強道場であり、その先頭に立っている松本氏自身が、今でも資格を取るために勉強し続け、過去の歴史などを常に学んでいる。実際に松本氏の口からは、故事成語がすらすらと登場する。

「10年以内での県内解体業ナンバーワンを目ざす」と松本氏は話す。マラソン大会も、会社としても、社員一丸となった晴耕舎の学びと挑戦は続いていく。

晴耕舎の社名は「晴耕雨読」に由来する。これを体現する二宮金次郎像が、本社入り口で出迎えてくれる

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biz Link2019年11月10日号より転載

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