操業100周年を迎えたデンカ(株)の青海工場(新潟県糸魚川市)、従業員数は約1,000名で国内製造業第2位となる規模の発電能力も保有
新潟県民にとってデンカビッグスワンスタジアムや五泉事業所でも馴染みのあるデンカ株式会社(東京都中央区)の青海工場(新潟県糸魚川市)が今年12月で操業100周年を迎えた。
青海工場は隣接する黒姫山の石灰石や自家発電電力などの資源を有効に活かし、1921年(大正10年)にカーバイドの製造を開始。以来、独自のカーバイドチェーンにより石灰窒素肥料、セメント・特殊混和材などの無機化学品から特殊合成ゴム、高分子ヒアルロン酸製剤などの有機化学品に至るまで、幅広い製品を生産する堂社の主力工場であり続けているという。
また2018年には工場部門間の一体的・機能的な運営や地域との相互交流の中枢(ハブ)として新総合事務所「Omi Innovation Hub(オーミ イノベーション ハブ)」を竣工するなど、社員の働きやすい環境の整備にも注力している。
一方、青海工場では操業と同時に自家水力発電所も稼働しているほか、今年1月には新たな自家水力発電所である新青海川発電所の送電を開始し、現在、合計16か所、約17万世帯の電力分に相当する最大出力12.6万キロワット(国内民間製造業では第2位となる規模)の発電能力を保有。来年4月には新姫川第六発電所の送電開始を予定しているなど、クリーンエネルギーの利用拡大を進めている。
さらに、カーボンニュートラル実現に向けたCCUS(※)の開発・実装展開の技術開発や、二酸化炭素吸収型コンクリート「CO2-SUICOM」の普及に向けて、キーマテリアルとなる特殊混和材「LEAF ®」の研究開発なども進めている。
【青海工場 概要】
所在地 新潟県糸魚川市大字青海2209番地
主要製品 クロロプレンゴム、ポバール、カーバイド、石灰窒素肥料、アルミナ繊維、セメント、特殊混和材、高分子ヒアルロン酸製剤、超高純度モノシランガスなど
従業員数 約1,000名
(※)CCUS(Carbon Dioxide Capture, Utilization and Storage/二酸化炭素回収・有効利用・貯留)プラントで発生する排ガスに含まれる二酸化炭素をほかの成分と分離して回収し、大気への放出を防ぐ技術。回収した二酸化炭素は、地中や海底に貯留するほか、化学品や燃料を作るための原料として再利用するなどの検討が官学共同で進められている。なお同社も産業技術総合研究所と共同で開発に取り組んでいる。