今年10月に東証 東京プロマーケットに上場した女性登用に積極的な(株)サトウ産業(新潟県上越市)

佐藤明郎代表取締役

株式会社サトウ産業(新潟県上越市)は10月14日、東京証券取引所のTOKYO PRO Market(東京プロマーケット)に上場した。

同社は1974年10月の設立。上越市内に本社・本社工場のほか、3つの工場を有し、高層ビルや大規模商業施設などの建築物の構造体である柱・梁、付帯製品などの設計、製作を手がける鉄工建設事業を展開している。鉄工事業では難易度の高い100メートルを超える超高層建築物にも対応するほか、建設事業では学校などの公共施設や工場、商業施設など様々な工事を手がけている。

東京プロマーケットは、東証1部、2部やジャスダックなどの個人でも株式を買うことができる市場(マーケット)とは異なり、株式を買うことができる投資家を株式投資の知識や経験が豊富なプロ投資家(機関投資家など)に限定しているのが特徴。現在、同市場に上場している企業数は他の市場と比べてまだ少ないが、新規上場する企業の数は増加している。

「上場企業は社会の公器」と話す同社の佐藤明郎代表取締役は、「上場企業と聞いて、パッと思いつくのはいい会社や安定している会社。子どもを預けてもいいかなという会社だ」と語る。同社もそうありたいとの思いからからの発言だろう。

上場への挑戦のきっかけは、清鋼材株式会社(新潟県糸魚川市)が東京プロマーケットに上場したという新聞記事を2019年に読み、これならうちも出来そうだ。地方の中小企業でも狙える市場だと思ったという。

上場に向けては、毎月の売り上げを立てる方式に変えたほか、棚卸しの概念も建設業界にはなかったが、その点も会計の基準を変えた。コーポレートガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(企業倫理)も全面的に見直したことに加えて、組織再編や職務権限の明確化を行った。

また、同社は女性登用に積極的だ。来年、高卒の新卒を10人採用するが、7人が女性だ。

「日本M&Aセンターからも『社員さんが変わりますよ』と言われ、半信半疑だったが、やる気になる社員が5%(4、5人)くらい出てきた。総務部長が1番頑張った。当社は取締役の女性部長が2人いて、従業員全体の31%が女性で20人を超えている。女性はこつこつやるし、まじめだし、優秀だ。責任を与えると、やりがいがでる。今まで女性は男性の影に隠れているところがあったが、うちは関係なくやっている。あとは、妊娠、出産、子育てがあるが、1年間育休を取らせるし、現在、在宅勤務をしている女性従業員が2人いるが、自宅パソコンを持ち込んで図面を描いている」(佐藤代表取締役)

リーマン・ショックの時会社が立ちいかなくなり、東京に活路を見出した。学生時代の同級生が東京の大手ゼネコンで図面を描いていたこともあり、そうしたコネクションで仕事を獲得していった。

来年、某放送局の本社建て替え工事を担当する。同社の部分だけで10億円の工事だ。現在、渋谷で4つ星ホテルを建設しているが、約18億円の工事だという。

「昔からの人間関係で付き合いのある東証1部上場企業などの総合商社の営業マンがうちの営業マンだ。当社は、営業はしないでいいので、東京事務所はいらない」と佐藤代表取締役と話す。

「子どもは東京の上場企業に勤めている。私は毎日朝が早く、大変なので会社は継がせたくない」と苦笑する佐藤代表取締役だが、上越市3社目の上場企業として社会的責任も付加されてくることが予想される。こうしたなか、2021年2月期で20億3,900万円の売上高を5年後に100億円にする目標を掲げている同社への飛躍に注目していきたい。

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(文・梅川康輝)

上越市3社目の上場企業となった

サトウ産業の本社外観

東京都内のホテル工事の様子

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