新潟三越伊勢丹(新潟市中央区)が「新潟伊勢丹」を大規模改装
2021秋に若い世代の需要にも対応する新しい百貨店に
新潟伊勢丹や新潟三越などを運営する株式会社新潟三越伊勢丹(新潟市中央区)は2日、新潟伊勢丹の大規模改装を行う、と発表した。営業を行いながら、大規模改修を行い、2021年秋までに、入口、天井、エントランス、コンセプト、ゾーニング、取り扱うブランドなどを大幅に変えた百貨店に生まれ変わる。これにより、既存顧客を大切にしつつも、ミレニアム世代など若い世代の需要にも対応する、従来とは異なる百貨店になるという。投資額は明らかにしなかったが、過去最大の投資で、過去の全面改修の時に比べて2・5倍の規模、50~100億円になるとみられる。
「『三越はこのまま閉店してしまうのか』『伊勢丹は変わらないのか』『新潟の百貨店はどうなるのか』という声が少しずつ増えている。こうたなか、新潟三越は申し訳ないが来年3月22日に営業終了する。ただ企業として考えたとき、シュリンク(縮小)ではなく、10年後、20年後に今よりも百貨店の存在価値を高めて、新潟で唯一の百貨店企業として『あってよかった』と誇らしく思っていただける百貨店を目指すために、新潟伊勢丹に集中投資するもの。進化した百貨店を作り、新潟の唯一の百貨店があってよかったといわれる百貨店をめざす」。会見の席上で、同社の星野圭二郎代表取締役社長はこのように述べた。
その未来を見据えた百貨店のコンセプトは、「Social Home Department Store」。家とは一味違う居心地の良い空間、また来たくなる空間にするほか、来店の度にいつも新しいものと出会えるワクワク感を感じることができる百貨店にしていくという。
具体的には、新潟伊勢丹の面積が100だとすると、80が改修される。また100のうちの20%をくつろぎの場などにあてるという。「これまで百貨店はモノを買う場所ばかりで、来店の敷居が高かったり、買い物で疲れた時に休むことができなかった」(星野社長)。そこで、1階の靴売り場のある場所に、休憩や交流など自由に使える「くつろぎの場」を設けるのだ。これにより、長く滞在してもらえるようになったり、買うものがなくても来たくなる人が増えたりすることが期待できるという。取り扱うブランドも半分近くを、新しいブランド、これまで新潟になかったブランドにしていく。
また、現在外壁を工事中で、年内に完了する予定だが、完成後はガラス張りになる。ここに飲食店を入れて、景色を楽しみながら食事をできるようにする。これも長く滞在してもらう仕掛けの一つだという(当面はガラスにイラストを貼り、通行者を楽しませる)。
フロア別では、現在、2階にある「NIIGATA 越品」のコーナーを、3倍の面積にしたうえで、高級ブランドが並ぶ1階に移動。これにより5億円あるNIIGATA 越品の売上高を2021年までに倍増させる計画。2階は、ミレニアム世代など若い世代のニーズに対応したフロアにする。また各フロアには、新たに提案したい商品を設置できる「サークル」を設置し、来店者に体験してもらえるようにする。
3階以上は、既存のコアな顧客に向けたフロアとなるが、動線や見せ方などは大きく変える。これまで売り場は、レディースなど性別ごとや、ライフステージ別に分かれていたが、(服飾などの単品ではなく、小物なども含めた)様々な商品の組み合わせで提案する形に変える。また、これまでは一つのブランドを5年、10年と販売し続けていたが、今後は、随時変えていくという。
新潟市西区亀貝に新サテライト店を計画
一方、現在、顧客の7割が新潟市在住者だが、サテライト店を充実することで、県内各地にいる潜在顧客の取り込みも図る。具体的には既存の小型店を大規模店にしていくほか、新規出店も行う。まずは新潟市西区亀貝に大規模店に近い店舗を開店するという。なおサテライトは、伊勢丹新宿店や日本橋三越本店の商品などを扱う。
また新潟交通が大規模な改修を進めて、新潟伊勢丹の立地する「万代エリア」にも路面店を出店する予定。
こうした一連の取り組みにより、18年度450万人だった来店者数を改修後は500万人にしていくほか、滞在時間を18年度の39分から60分に伸ばしていくことを目指す。売上高も120%増を目指すという。