ブルボンと新潟大学が次世代の物流などの在り方を見据え、「組織的な産学連携協定」を締結
株式会社ブルボンと新潟大学は9日、組織的な産学連携推進に関する協定を締結した。ブルボンと新潟大学は2014年から、新潟大学大学院医歯学総合研究所に寄付講座「先進老化制御学講座」を開設したり、血管老化を含めたアンチエイジングなどに関して共同研究を行ったりしてきた。共同研究では「世界トップクラスの論文に常に掲載される」(新潟大学・髙橋姿学長)などの実績も出ているという。
今回の提携は、こうした寄付研究や、共同研究にとどまらず、新潟大学の全学部とブルボンの全組織を対象に包括的に次世代を見据えた物流や販売の在り方などで産学連携を行っていく。「(秘密保持の)契約書を山盛りに作るのではなく、信用関係のうえで、お互い知財で出せるものは、すべて出して、早く事業化していくというのが組織的な産学連携という意味」(新潟大学・川端和重副学長)などと説明していた。
具体的には
・食品産業、健康産業に関わる産学連携
・バリューチェーンの革新的技術に関わる研究開発
・地域活性化や国際交流につながる人材育成
に取り組んでいく。
このうち、バリューチェーンの研究開発では、製造や販売の形態(IoT、無人店舗など)や物流の在り方(AIを使ったルートの最適化など)などが急激に変化しているなか、新しい時代に対応した販売形態や物流などを研究していく。「(ブルボンでは)東京と新潟でお菓子を自動販売機で販売しているが、どういうルートで配送すると最適かを名古屋大学発ベンチャーと行っている。そうしたなか、次世代の販売機、自動の無人販売スペースについて新潟大学と研究していきたい」(ブルボン・吉田康代表取締役社長)。一方、新潟大学はブルボンと、必要となる企業を繋ぐ役割などを担っていく。
関東大震災の物流マヒの惨状がきっかけとなり新潟県柏崎市で誕生した同社の歴史的背景に加え、災害食品も製造販売していることから、新潟大学災害・復興科学研究所などと、適切に届かないこともある災害時の物資の配送ルートなどについても共同研究していく。
国際人材につながる人材育成では、少子化が大きな課題となっているなか、新潟大学にいる300名の中国人留学生などが、ブルボンを含めて日本で働けるように取り組んでいく。
なお国立大学で調査すると、博士課程を含めた長期留学生が卒業後、日本で働きたいと思っている人は7割いるが、現実に就職しているのは3割程度。(一社)国立大学協会では5割くらいに持って行きたいと国に規制緩和などを要望しているという。
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