新潟大学と亀田製菓が「幼少期の食事と肥満・腎臓病」における共同研究結果を発表
幼少期の米タンパク質摂取が成熟期の肥満を抑制
新潟大学大学院医歯学総合研究科病態栄養学講座(寄付講座)などの研究グループは、亀田製菓株式会社(新潟市江南区)との共同研究において、「幼少期の米(胚乳)タンパク質接種が成熟期の肥満やそれに関連する腎臓病を抑制する」ことを明らかにした。12日の、新潟大学および亀田製菓の発表による。
肥満や2型糖尿病、およびそれらに関連する慢性腎臓病の増加は世界的な問題となっている。中でも食事と肥満との関連、特に幼少期の食事がその後の肥満や肥満に関連する疾患の発症に関与する可能性については多くの報告によって示唆されているが、日本人におけるそのエビデンスは少ないことが、肥満の原因を明らかにする研究の大きな課題の1つであった。
研究では、幼少期のマウス(4~10週例)に、動物性タンパク質であるカゼイン(Casein、CAS)または米(胚乳)タンパク質(Rice Endosperm Pritein、REP)を含む通常脂肪食を与え、その後の成熟期(10~22週例)にはいずれかのタンパク質を含む高脂肪食を負荷。その上で血液検査、尿検査のほか、体重や腸内細菌叢などの評価を行うとともに、腎病理所見を検討。さらに22週齢時の各測定データを用いて、幼少期の成熟期の摂取タンパク質の違いを解析した。
その結果、幼少期にREPを摂取したマウスの方が、成熟期における体重や脂肪重量、血糖、総コレステロールなどの増加が抑制されていたという。また、腎病理所見の結果、成熟期の高脂肪食負荷による腎障害の進行抑制に、幼少期のREPの摂取が関与している可能性も明らかになった。
研究では、これらの結果についてのメカニズムも検討。示されたのは、幼少期のREP摂取が、腸内細菌叢の多様性を高めるとともに、大腸菌の占有率を低下させていたことだという。
研究の今後の展開について、新潟大学および亀田製菓では次のコメントを出している。
「今後、ヒトでの研究を重ねることで、REP摂取の人における適切な摂取時期や摂取量についても検討したいと考えています。最後に、本研究結果を基盤として、和食の中心である『米』に関するエビデンスを蓄積し、和食の良さについてのさらなる評価につなげていきたいと考えております。」
今回の研究の一部は、「幼少期投与用の肥満および/または肥満関連腎症予防組成物、幼少期登用の肥満および/または肥満関連腎症予防薬、食品、並びに肥満および/または肥満関連腎症を予防する方法」として、特許を出願済み(特願2017-061684)。また研究成果については、2019年12月3日(日本時間)付けのNutrientsのオンライン版に掲載されている。