日朝友好新潟県連絡会、帰還事業60周年の記念講演会を新潟市中央区で開催
日朝友好新潟県連絡会は13日、新潟市中央区内で、帰還事業が始まった1959年12月14日から数えて60年の節目を迎えるに当たり、記念講演会を開催した。参加者は総勢約50人。かつて、新潟市からは帰還事業を通じて、約9万3,000人の在日朝鮮人や日本人妻が北朝鮮に渡った経緯がある。
この日は、津田塾大学教授を務める朴正鎮氏が帰還事業について講演。一般的に、帰還事業は労働力を求める北朝鮮と財政負担の大きさから在日朝鮮人を帰したい日本の思惑が一致、1959年から1984年にかけて実施されたと理解されている。しかし、朴氏は一歩踏み込んで、「日朝両国だけの思惑で十万人近い規模の移住が可能だったとは必ずしも言えない」と述べ、この他の要因について説明した。
朴氏によれば、帰還事業が最も盛んになった1960年前後は、日米間の軍事協力をめぐる安保闘争が激化した時期に当たり、資本主義陣営と対立していた中国やソ連も帰還事業に関与。いわば帰還事業は、冷戦という時代の中で行われた、資本主義体制から社会主義体制への組織的な移住であったと指摘。特定の国が悪かったという論争に終始せず、在日朝鮮人の人権問題を置き去りにした点では、いずれの関係国にも責任があるとの視点を持つ必要があるという。
このほか、講演会では、当時、帰還事業を支援した風間作一郎氏や帰還事業で北朝鮮に渡った妹を持つリ・ジュヒョン氏がそれぞれの立場から、帰還事業や日朝友好に対する思いを語った。