にいがた総おどり祭開催から見出された可能性

▲20周年を迎え、オンラインで開催されたにいがた総おどり祭

9月18~20日、2年ぶりににいがた総おどり祭(以下総おどり祭)が開催された。今年は20周年を迎えるアニバーサリーイヤーであったが、感染症対策を鑑み、3日間それぞれ異なるプログラムを配信するオンライン開催となった。

▲江戸時代の新潟で踊られていた盆踊りを蘇らせた「下駄総おどり」

▲全国と繋ぎ、演舞を生中継

総おどり祭は例年であれば万代シテイや古町、新潟ふるさと村など新潟市内約10カ所を会場に、3日間にわたり全国、そして海外から延べ約250団体、踊り子1万5000人、観客20万人が集うオールジャンルの日本最大級のダンスフェスティバルとして盛大に催されている。しかし2020年は世界的な新型ウイルス感染症拡大により中止。開催に伴う収益を失ったことにより、運営の危機にも立たされた。そこで存続のために実施したクラウドファンディングで、900人を超える支援者から約1,100万円もの支援を受けられたことにより、今年の開催が実現した。

▲佐渡の太鼓芸能集団 鼓童が初参加

さまざまなイベントが自粛する中、新潟総踊り祭実行委員会の岩上寛総合ディレクターは「クラウドファンディングを通じてたくさんの思いをもらって繋がった特別な年。踊りたくても今は踊ることが難しい環境の人も含め、感染症が収まった後、またみんなで集える場となるために開催を決定した」と、経緯を説明。

▲現場をまとめる岩上寛総合ディレクター

2021年度のプログラムは、主に全国のチームと繋いでの演舞生中継と事前収録された演舞動画の配信、そして感染症対策のため幕を張って封鎖した万代十字路を舞台にしたスペシャルステージの生配信で構成された。その結果、これまで参加が難しかった遠方チームの初参加が実現し、全国78会場と生中継をつなぎ、15都道府県・海外16カ国・131団体が参加。なかでも海外チームが飛躍的に増加したことは大きなトピックスとなった。

▲生配信ならでは、収録ならではのそれぞれ演出も見られた

最終日は、[天地-AMATSUCHI-]と題した20周年記念オンライン公演で、鼓童やNGT48、Noism2やばんにゃいなど、新潟のさまざまなアーティストが万代十字路からパフォーマンスを披露した。Noism2と永島流新潟樽砧伝承会のコラボステージ、NGT48と総おどりのコラボソング「Awesome」や新潟出身のシンガーソングライター澪-mio-が歌う20周年記念ソング「Orange!」など、総おどり祭ならではの内容に「今まで総おどりに行ったことはないが、オフライン開催したら是非行きたい」という声がネット上で上がるなど、好評のうちに幕を閉じた。

▲永島流新潟樽砧伝承会とNoism2のコラボステージ

▲総おどりとのコラボソング「Awesome」を披露するNGT48

また総おどり祭では、20周年を記念したドキュメンタリー映画「NIIGATA SOH ODORI MOVIE『EPISODE』―世界を想い、今日を奏で、明日を創る―」を制作し、9月に新潟市民映画館・シネウインド、そして10月にはオンライン上映会を実施した。踊り子や学者、伝統芸能継承者など26人のインタビューから構成されている本作は、600人以上の観客に祭りの歴史や踊りの力を通し、文化の持続可能性を問いかけた。

▲「EPISODE」には、地方唯一の日本舞踊の家元・市山流七代目市山七十郎氏も出演(写真左下)

あらゆるイベントが例年通りとはいかなかった2021年。総おどり祭では当初オンラインとオフラインのハイブリット開催を目指していたが、夏の全国的な感染状況の悪化からオフラインのみに切り替えるなど、現場の判断・対応は困難を極めた。だが「『なぜ祭りをするのか』を改めて関係者一同考えることができ、行き着いた答えが、大事なことは規模感ではなく開催すること。今回やると決めたことを実行する背中を次世代に見せられ、次に繋げられたことが一番良かったことだと思う。オンラインだからこそ、今まで出会うことのなかった人たちと出会う裾野を広げることができたし、そんな色とりどりの人たちと感動を分かち合うためにも、次に何ができるか考えていきたい」と岩上氏は次なる展開を見据えている。

▲最終日のプログラムにはオンライン配信サービス「Stagecrowd(ステージクラウド)」を採用し、高音質・高画質での臨場感あふれる映像を配信

途中配信トラブルが発生し混乱する場面も見られたが、新しい祭りの可能性が拓かれた祭りが無事閉幕し、3ヶ月が経った。新たな変異性ウイルスも出現するなど、未だパンデミックの収束は見通しを立てることが難しく、今後もあらゆるイベント運営において避けては通れない課題だ。しかしマイナスだけではなく、従来の考え方を超えたところにあるプラスを見出すきっかけとなることも、この3日間から感じられた。

20周年を超えて、創成期から発展期へ。さまざまな経験を経た、これからのにいがた総おどり祭の成長に注目したい。

▲にいがた総おどり祭は新潟で活動する和楽器アーティストも多数活躍

 

本記事はにいがた総踊り祭り実行委員会の提供によるものです

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