新潟大学日本酒学センターが造った試験醸造酒を研究員らが官能評価
新潟大学日本酒学センター(新潟市西区)は23日、同センターで初めて造られた試験醸造酒を視覚・聴覚・味覚で評価する官能評価(きき酒)を実施した。官能評価は育種酵母の選抜を目的としたもので、新潟県醸造試験場(新潟市中央区)の研究員らによって評価が行われた。
日本酒学センターは、4月1日に清酒製造免許(試験製造)を取得し開所。同センターの施設で初めて造った試験醸造酒となる5種類の異なる酵母で造った試験醸造酒を、4人の評価者が官能評価を行った。
官能評価を行ったのは、新潟県醸造試験場の金桶光起場長、佐藤圭吾専門研究員、菅原雅通主任研究員、新潟大学日本酒学センターの平田大副センター長。評価員は出来上がったばかりという5種類の試験醸造酒をそれぞれ口に含み、香りや味などから感じることを評価シートに記した。
官能評価を終えた評価者は、「Aは口に含んだ時、ライチのような香りがする。まとまり感がある」や「Cはえぐみや酸臭を感じる」などと話し、香りや味などから感じたことを具体的な表現で言語化していた。
今回の官能評価について平田大副センター長は、「今回の一番の目的は育種した酵母の選抜。先生方からいただいた評点と私どもの分析値を比べながら、今後の改良育種に活かしていきたい。早ければ来年度に、新潟の清酒業界のみなさんに使っていただきたいと思っている」と話した。
また、試験醸造酒づくりを主に担当した特任助教の西田郁久先生は、「春から醸造や分析などの新しい設備ができ立ち上げてきた中で、ようやく1サイクルが回せたという達成感がある。今回いただいた評価と分析値を照らし合わせた上で、どういう方向で酵母をさらに育種していくか、また新潟の清酒の醸造につなげていくかを検討していきたい」と話した。