「新潟五大ラーメン」やJALショッピングで人気の「ピザ」を製造する三旺食品(新潟市)
人口あたりのラーメン店数やラーメン消費量で全国上位に位置する新潟県はラーメン王国といえる。ご当地ラーメンも少なからずあり、「新潟五大ラーメン」と言われるラーメンもある。「新潟あっさり煮干し醤油ラーメン」(新潟市)、「新潟濃厚味噌ラーメン」(新潟市)、「背脂ラーメン」(燕市・三条市)、「長岡生姜醤油ラーメン」(長岡市)、「三条カレーラーメン」(三条市)だ。この五大ラーメンが、生麺を電子レンジで調理するだけで食べることができる「レンジアップラーメン」として、県内外各地のサービスエリアや観光施設、駅などで販売されている。
製造するのは、ラーメン、うどん、そば、パスタなど幅広い麺類の製造を手掛ける三旺食品(新潟市中央区)だ。
JALショッピングで人気の「ミルフィーユピザ」
三旺食品の創業は昭和元年。当時は「大島こんにゃく屋」として、こんにゃくや海藻から作られる新潟名物「えご」を生産し、地域の人々から親しまれていたという。その後、昭和22年に製麺加工業をスタートし、昭和41年には新潟市の学校給食がソフト麺を採用すると、製造工場として県の指定を受け、以来、学校給食麺を提供し続けている。
また麺類は給食だけでなく、県内の八百屋や、小規模小売店などに卸していた。だが、こうした小規模店舗が減少。そこで、新たな販路を開拓できる商品を開発し販売することにした。
2000年に販売を始めたパスタ麺だ。マンパワーが限られる小さな店舗向けに、「手打ちのパスタを作ることに人手をかけなくても、代わりに生麺をつくります」というコンセプトで販売を始めた。今は業務用(約70アイテム)だけだが、販売当初はクイーンズ伊勢丹などでも販売していたそうだ。
このパスタ麺を販売している中で、「うすい生地のピザを作ってほしい」と依頼があった。これがきっかけで、2009年には、『ミルフィーユピザ』の製造販売を開始した。薄く延ばした生地を4層または6層に重ねていて、パリパリとした食感となっている。サイズはオーブントースターで調理できる小さなサイズ。「アンチョビ」「3種チーズ」「ホワイトきのこ」「ナッツショコラ」などをトッピングした15アイテムあり、ワインやビールのつまみや夜食などとして人気だ。
販売した直後に、(公財)新潟市産業振興財団 ビジネス支援センター(IPC財団)の共同ブースで、アジア最大級の食品・飲料専門展示会「フーデックス・ジャパン」に出店したことでバイヤーの目に留まり、販路は順調に拡大。販売開始当初からJALとANAで取り扱われているほか、阪急百貨店、近鉄百貨店での催事場での販売も行ない、次第に人気を集めていった。「JALショッピング人気グルメ(年間)では常に上位に入っており、1位を目指しています」(大島信二専務取締役)と語る。
価格は決して安価とはいえないが、贈答用として全国各地で購入されている(数枚単位の箱詰めでの販売のため、1枚単位のバラ売りはしていない。ただ月1回の三旺食品 工場直売会ではバラ売りを行っているという=後述)。
5大ラーメンだけでなく「かんずり入り旨辛味噌ラーメン」なども
2010年には、北海道の製麺会社で教わった生産技術を生かし、燕三条青年会議所とコラボして、背脂ラーメン(燕市・三条市)、三条カレーラーメン(三条市)の「レンジアップラーメン」の販売を開始。翌年には、「新潟あっさり煮干し醤油ラーメン」、「新潟濃厚味噌ラーメン」、「長岡生姜醤油ラーメン」の3アイテムを追加して、五大ラーメンのレンジアップラーメンが出そろった。
単品商品としては、乾燥野菜も入った「丼(どんぶり)」や「1食箱入れ」、麺だけの「袋入り」がある。また、五大ラーメン(5種)の丼が入った「岡持ちセット」、五大ラーメン(5種)の1食箱入れが入った「岡持ちセット」、5大ラーメン(5種)の袋入りの入った「BOX」(=上写真)などセット商品もある。
なお昨年には、BOXセットの「かんずり入り旨辛味噌ラーメン」(妙高市)と、丼タイプの「鯛だし醤油」、「焼あご塩」、「海老みそ」も発売している。
県内の駅内、サービスエリア・パーキングエリア、観光施設、スーパー(GWや盆など期間限定)などで、お土産用に販売しているが、最近は販路を県外にも広げている。「フーデックス・ジャパンのほかに、にいがた産業創造機構(NICO)の補助制度を活用し、スーパーマーケット・トレードショー、うまさぎっしり新潟 食の大商談会にも出展し販路を拡大しています」(同)と語る。
毎月1回、工場直売会を開催
「商品は見たことあるし欲しいと思うが、三旺食品という名前を聞いたことない」という読者は少なからずいるかもしれない。そうした人々にとって、良い機会がある。同社が、毎月1回開催している「三旺食品 工場直売会」だ(基本的には月末の土日に開催)。次回は12月28、29日7時から12時まで開催する予定で、同社の人気商品を販売するほか、数量限定だが、商品購入者に「2020年 めん料理カレンダー」をプレゼントするという。