東京商工リサーチ新潟支店が第17回新潟県内企業「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査
株式会社東京商工リサーチ新潟支店は28日、第19回新潟県内企業「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査の結果を公表した。同アンケートは、12月1日から9日の期間に実施し、有効回答172社を集計、分析したもの。
「新型コロナウイルスの発生は、企業活動に影響を及ぼしていますか?(択一回答)」という問いに対して最多となった回答の最多は、「影響が継続している」で72.7%(172社中125社)だった。以下、「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」が11.0%(19社)、「影響が出たがすでに収束した」が9.9%(17社)、「影響はない」が6.4%(11社)だった。「影響が継続している」は、前回調査の72.5%(236社中、171社)より0.2ポイント悪化した。
「貴社の今年11月の売上高は、前年同月(2020年11月)を「100」とすると、どの程度でしたか?」という問いについては、2021年11月と前年同月(2020年11月)の売上高比で回答があった企業を見ると、「100以上」つまり増収となった企業は60.3%(79社)、それ以外の39.7%(52社)が前年割れ(減収)だった。
一方、「貴社の今年(2021年)11月の売上高は、コロナ禍前の一昨年(2019年)11月を「100」とすると、どの程度でしたか?」という問いに関しては、2021年11月と一昨年同月(2019年11月)の売上高比で回答があった企業を見ると、「100以上」で増収の企業は50.8%(65社)、それ以外の49.2%(63社)が減収だった。
「在宅勤務の状況について伺います。9月30日をもって緊急事態宣言が全国で解除されましたが、出社率(出社する人数、日数)の方針に変化はありますか?(択一回答)」という問いについては、最多は「解除前も解除後も在宅勤務制度を導入していない」で61.2%(170社中104社)だった。以下、「解除前後で出社率に変更はない」が30.0%(51社)、「解除後は出社率を引き上げた」が5.3%(9社)「解除後は出社率を引き下げた」、「解除後に「在宅勤務」制度を取りやめた」は、1.8%(各3社ずつ)だった。
「『解除後は出社率を引き上げた』『解除後に在宅勤務制度を取りやめた』との回答された方に伺います。理由は次のうちどれですか?(複数回答)」という問いについては、「感染リスクが低減されたため」が(18社中10社)、「従業員間のコミュニケーション不足が生じたため」、「在宅勤務をできない従業員との不公平感を解消するため」が(各2社ずつ)となった。
「コロナ禍の収束が長引いた場合、『廃業』(すべての事業を閉鎖)を検討する可能性はありますか?(択一回答)」という問いについては、「ある」は4.5%(156社中7社)、「ない」は95.5%(149社)だった。「ある」は前回調査より0.4ポイント悪化した。
「『廃業』を検討する可能性が『ある』と回答された方に伺います。検討するのは、いつ頃ですか?(択一回答)」という問いについては、「25カ月以上」が42.9%(7社中3社)、「2~3カ月」、「7~12カ月」が28.6%(各2社ずつ)だった。
「コロナ禍の収束が長引いた場合、再生支援協議会や事業再生ADR、民事再生法などを活用して「事業再生」を検討する可能性はありますか?(択一回答)」という問いについては、「ない」が95.3%(148社中141社)、「ある」が4.7%(7社)となった。『「ある」と回答された方に伺います。「事業再生」を検討する可能性があるのは、いつ頃ですか?(択一回答) 』という問いについては、「2~3カ月」、「4~6カ月」が28.6%(7社中各2社ずつ)、「7~12カ月」、「13~24カ月」、「25カ月以上先」が14.3%(各1社ずつ)となった。
「貴社の借入金について、返済の見通しは以下のどれですか?(択一回答)」という問いについては、「全く問題ない」が43.8%(128社中56社)、「ある程度問題ない」が32.0%(41社)、「多少懸念がある」が10.9%(14社)、「どちらともいえない」が7.0%(9社)、「強い懸念がある」が6.3%(8社)と続いた。
「原油などの原材料価格の上昇が貴社の利益に与える影響は以下のどれですか?(択一回答)」という問いについては、「利益をやや圧迫している」が60.6%(165社中100社)、「利益を大きく圧迫している」が24.8%(41社)、「利益への影響はほとんどない」が14.5%(24社)となった。
「貴社が使用する原材料の価格は、今年度末(2022年3月末)までの間にどう変化すると見込まれますか?(択一回答)」という問いについては、「上昇する」が82.1%(162社中133社)、「変わらない」が17.3%(28社)、「下落する」が0.6%(1社)となった。
東京商工リサーチ新潟支店はレポートの中で、「原材料価格の高騰の影響について、8割を超える企業が利益を『圧迫』していると回答した。今年度末までの原材料価格の見通しについては、82.1%の企業が『上昇する』と回答している。経済の再活性化への期待は高まっているが、現実は厳しい見方を持っている。感染拡大を抑え込み、コロナ禍の収束への道筋をつけたとしても、『利益なき売上回復』に帰結しかねない状態だ」と指摘。
また、「『過剰債務』への対応も避けて通れない。借入金の返済について、『全く問題ない』と回答した企業は43.8%にとどまり、半数以上が万全ではないことが、今回の調査で改めて浮き彫りになった。金融債務のデフォルトなどは、企業のレピュテーション(風評)に直結し、取引先の信用収縮など企業活動に大きな影響を与えかねず、返済の確実性を高めるには単なる紋切り型でなく、資金供給の枠組みの発想転換と同時に、過剰債務の企業に寄り添った多様な支援策が求められる」と分析している。