企業広報などで活用拡大 新潟県内でVチューバーの注目が高まる
(この記事はBIZ Link2019年12月10日号に掲載したものです)
新潟県内で、3DCG(3次元コンピューター・グラフィックス)などで作られた、架空のキャラクター「Vチューバー」の注目が高まっている。個別のキャラクターの活躍にとどまらず、企業の広報活動にも活用は広がっており、今後は専門学校でコースが開設される予定だ。新潟がVチューバーの一大拠点になりつつある。
Vチューバーを操るのは生身の人間で、自身の表情や動作をバーチャルリアリティー機器やカメラで検知。人間の動きをデジタルデータ化してコンピューターに取り込む技術などを利用して、アバターに演じさせるのが特徴だ。この分野において県内で先駆者的存在なのが、シーエスレポーターズ。VRコンテンツチームのGugenkaが制作する女子高生風のキャラクター「東雲めぐ」が中心的役割を担う。SHOWROOM株式会社が運営する仮想ライブ空間「SHOWROOM」や「YouTube」で生配信や動画を配信。ギフトやコメントでライブを盛り上げ、物語の世界に入り込んだかのような体験を楽しむことができる。
2019年5月には自身が作詞・作曲を手掛けた第一弾シングルのデジタル配信を開始し、イベントや動画で歌ってきた楽曲全4曲を各音楽配信サービスで発売もした。11月14日には、デジタルコンテンツEXPOでトークショーを行うなど、活動の幅を広げている。
映像制作としては経験豊富なテレビ局も手を打つ。株式会社新潟テレビ21と、がたひめプロジェクトは、新潟のご当地Vチューバー「がたひめ」さんのオリジナルキャラクターソング「がたひめらんでぶう」を制作し、ミュージックビデオを配信した。がたひめさんは「最も愛されるお姫様Vチューバー」を目指して活動中の新潟のご当地お姫様Vチューバーで、新潟のご当地情報の他、今後はアニメソングの配信も行う。新潟紹介系番組UXチャンネル、がたひめチャンネル(YouTube)で配信しており、ツイッターで積極的な情報発信を行っている。
また、株式会社ブルボンは3月12日、ロングセラー商品「チーズおかき」発売35周年を記念して、人気Vチューバー・キズナアイとコラボレーションしたCMソングを展開。チーズおかきの公式ブランドサイトとキズナアイの公式YouTubeチャンネルで公開した。同社ではキズナアイをデザインしたチーズおかきも販売。この商品は1984年の発売以来、リピーターの方が多い商品だが、キズナアイの起用で従来のリピーターに加え、若年層へのアピールを図る。大袋サイズで、複数人でシェアして食べら、個包装にもキズナアイのデザインをいれるこだわりようだ。
新たな産業としても注目が集まる
新潟市も新たな産業の育成として注目し、力を入れ始めた。新潟市産業振興センターで9月26~27日に開かれた「にいがたBIZEXPO」で、Vチューバーの実証実験を展開。AI、IoTなどの先端技術を活用した取り組みを支援する「実証実験補助金事業」に採択した事業の一環で、来場者に体験してもらい浸透を図った。Vチューバーは新潟コンピュータ専門学校の学生が制作し、新潟市成長産業支援課が設けたブース内で実験。来場者がVチューバーと会話したり、専用のコントローラーを身につけてキャラクターになりきれるようにしたりした。なお、新潟コンピュータ専門学校は2020年、CG・Webクリエイターコースに「Vチューバーコース」を開設する予定。株式会社バーチャルキャストと提携し、キャラクターデザインや動画編集、動画配信を学び、IT知識を持つクリエイターを育成し
ていく。
※biz Link2019年12月10日号より転載