日本銀行新潟支店が「新潟県の金融経済動向」について会見

2020年は、海外情勢による不確定要素とオリンピック

10日、日本銀行新潟支店が、県内の金融経済動向について記者会見した。

今回の会見で発表されたのは、主に昨年11月までの各経済指標から明らかになった、県内経済の基調判断。会見をもとに県内経済を「公共投資」「設備投資」「個人消費」に大きく分けると、公共投資は前年度からの持ち直し傾向が続いており、設備投資は対前年比で増加、個人消費は消費税率引き上げなどによる振れを伴いつつ、緩やかに回復しているという(会見での話は、佐久田健司支店長による)。

公共投資については、県や国などでの発注増加により、11月の公共工事請負金額が対前年比で増加(+12.9%)。ただし同指標およびそれに対する新潟支店の見方は、先月の会見時点と全く同じ。

日本銀行新潟支店の資料による

設備投資については、11月の建築着工床面積(非住居用)が対前年比で上回った(+2.7%)。さほど強い動きではないが、新潟支店の12月短観では、2019年度は前年を上回ると見ている。

日本銀行新潟支店の資料による

個人消費については、昨年11月の百貨店・スーパーの販売額が、前年を下回った(▲2.7%)。消費税増税がありながらも軽減税率が適用される食料品は堅調に推移したが、適用されない衣料品は弱めの動きとなった。また衣料品については、暖冬の影響もあったと新潟支店では見ている。

また個人消費のトピックとしては、昨年10月に続き11月の乗用車新車登録・届出台数が、対前年比で大きく下振れしたままだ(▲17.6%)。これは消費税増税の反動減がまず考えられるが、一方で自動車メーカーの生産プロセスの不具合による供給制約や新車投入の遅れもあったため、今後明らかになる指標なども参考にしながら、引続き要因を分析していく必要があるとのことだ。

日銀新潟支店の資料による

また会見では、11月の県内金融機関の預金、貸出金についても明らかにした。預金については、個人と法人の預金が前年を上回ったが、公金預金は下回った。一方の貸出金は、個人向け、地方公共団体向けで前年を上回ったが、法人向けで前年を下回った。結果として預金、貸出金ともに、前年を上回る結果となっている。

日本銀行新潟支店の資料による

2020年の県内経済の展開に目を向けると、海外情勢における不確定要素が高いと新潟支店では見ている。米中貿易摩擦、および中東情勢と、悪化する一方の事態を免れる進展はあったものの、依然として不安定であることに変わりはないとのことだ。米中貿易摩擦では関税を契機とする貿易の停滞、中東情勢では資源価格の高騰というように、ルートの異なるリスクが引続き存在する。

国内情勢としては、10月以降は消費税増税の反動とみられる弱めの傾向が出やすいものの、食品と家電は底堅いとのことだ。また今年はオリンピックが控えている。東京および札幌を覗けば即座の旅客需要の大幅拡大は見込めないものの、燕市の金属洋食器が五輪選手村に正式採用されたように、県内経済にとってのチャンスは控えていると新潟支店では見ている。

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