介護リフォームなどのフジトモ(新潟市)が本社の一部を「朗読会」や「地域の茶の間」として開放
介護リフォームや一般住宅リフォームを手掛けるフジトモ株式会社(新潟市江南区)は、本社の一部を「朗読会」や「地域の茶の間」として開放している。茶の間と聞いて、「公民館などの公的施設などで交流イベントを行う」というイメージを抱く人が多いと思う。じっさいそうしたケースが多く、フジトモのような民間企業が本社の一部を茶の間として開放するのは珍しいケースといえる。
代表取締役の加藤智彦氏はもともと現在の本社からほど近い曽野木の出身。地元に貢献したいとの思いから、同地区にあった古い空き家を借りて、2年ほど前に本社を新潟市中央区から現在の地に移転した。この本社移転を機に、本社内にある20畳の和室を開放し、「茶の間deろうどく」(毎月第二火曜日)を開始。さらに昨年6月には「フジトモ茶の間ゆう遊」(毎月第一水曜日、第三水曜日)を始めた。
朗読会は、フリーアナウンサーの遠藤洋次郎さんに来てもらい、小説、紙芝居、絵本などの朗読を行っている。「今後、茶の間を拠点に(地域の人を対象に)朗読のスクールを行う計画もあります」(加藤代表取締役)。
また地域の茶の間ゆう遊では、地域の人々が主体で集い、交流を通じて趣味の幅を広げてもらうなど価値のある時間を提供している。第一弾として、江南区運動普及推進協議会のメンバーに来てもらい、「健康体操」を行っている。また最近では、「クリスマス飾りづくり」、「新春お茶会」、「福来朗つくり」を行った。「昨年12月には、新潟大学落語研究部の皆さんに来ていただき、落語を行っていただきました」(同)。
民間会社が「茶の間」を行うメリットは?
なぜ、直接的な利益につながらないスペースの開放を行っていただろうか? SDGsに注目が集まる昨今、社会貢献という意味合いもあるだろうが、それだけではないようだ。加藤代表取締役に聞くと、「利益にはなりませんが、いくつかのメリットがあります」との回答が返ってきた。
その一つが社員研修の場になることだという。以前、事務職の社員はパソコンに向かって仕事をするだけだったが、いまでは地域との交流を通じて、様々なことを考えなければならない場面が増えたのだ。「例えばイベントなどの準備で、『こうしたほうがいいのではないか』『こういうものが必要ではないか』といったことを考えるようになりました」(同)。また地域の色々な人との交流は、様々な考え方に接する機会でもあり、ダイバシティ(多様性)を学ぶ場にもなっている。さらに本社の隣にある「フジトモ菜園」での作業を通じて、チームワークなども育んでいる。
また、和室や廊下などに、手すりなどがあり、介護リフォームを「体験できる場」にもなっていることも本業(介護リフォーム)にプラスの効果をもたらしている。高齢者はいざ介護リフォームが必要な段階になっても、事前の知識がないこともあり、『こうしてほしい』などと言いづらい面がある。だが、じっさい体験していれば、『ああいう手すりがほしい』などと言いやすくなるのだ。また、茶の間などを通じて、高齢者と交流していれば、高齢者の本音も聞けるため、介護リフォームの事業にプラスに働くのだ。
さらに、介護メーカーの担当者が講師となり、ケアマネージャー向けのセミナーを行ったこともあり、介護業界内の交流にもつながっているという。
なお、フジトモが営業している時間帯だけだが、和室はレンタルスペースとして貸し出すこともできるそうだ。
【写真】トイレの手すり①
【写真】トイレの手すり②
【写真】通路の手すり
【会社概要】
社名/フジトモ株式会社
代表/加藤智彦氏
所在地/新潟市江南区鍋潟新田1574番地
電話番号/025-374-6610
FAX番号/025-374-6641
営業時間/8:30~17:30(土・日・祝日定休)
事業内容/介護保険法に基づく住宅改修工事、介護用品のレンタル、介護保険法に基づく介護用品の販売。各種リフォーム助成工事、住宅のリフォーム業、建築工事業
URL/https://www.fujitomo-niigata.co.jp/