TOMPLA株式会社(新潟市中央区)がドローン配達の実証実験、鳥屋野潟上空を飛行しコーヒーを提供
新潟市とTOMPLA株式会社(新潟市中央区)は8日、鳥屋野潟(新潟市中央区)上空でドローンを用いた物流実証実験を行った。今回、ドローンには実際に商品が搭載され、約2.6キロメートル離れた利用者の元までコーヒーを届けた。現在は人の多い街中でのドローンの運用に制約が伴うことから、同市では今回のような河川上を通るドローン物流に期待高める。
ドローン宅配における空路設計などを行うTOMPLAでは、これまで2021年6月にも、人通りの多い新潟駅前での実証実験を実施している。現在、有人地帯での目視外飛行(自立飛行)が可能になるよう法改正が進められてはいるものの、現行では目視飛行も許可が下りづらいという状況があり、6月の実験はこの現状を打破する意味合いも含まれていた。
一方で、新潟市内には長大な信濃川が市街地中心部に横たわっていることから、この無人地帯を利用した新たな物流の創出が検討されている。今回の鳥屋野潟上空を利用した実験は、その前段階としてドローンの技術や店側のオペレーションの確認、また商品の温度や価格設定へ対する利用者の反応などを確かめる目的がある。
今回は新潟市中央区紫竹山6丁目のコンビニの駐車場を出発地とし、鳥屋野潟上空を通り、対岸の女池地区まで約2.6キロメートルの道のりをコースに選定。1度に最大4個のコーヒーを載せ往復し、5組の利用者へ届けることに成功した。
利用者として参加し、商品のコーヒーを受け取った長岡高専(新潟県長岡市)の学生たちは「ホビー用の物しか見たことがなかったので、まずその大きさと、運べる重量の大きさに驚いた」と話す。そして「便利だと思ったので、ほかの多くの人にも知れ渡ってほしい」と話すとともに「未来の技術者として、(飛行の際)鳥などをどう避けているのか気になった」という。
今回は事前に応募した人を対象とした限定的なイベントとなったが、TOMPLAでは例えば市内でのイベント毎や毎週末の実施など、2022年度中に定常的なサービスとして実施することを目指す。さらにTOMPLAの藤本高史代表取締役は、食品のデリバリーだけでなく、オンライン診断と組みわせて「薬を配達することも今後需要が高まっていく」と展望を語る。
一方新潟市では、「ドローンが当たり前に飛ぶ街」という近未来的な像を作り上げていくことで、観光やシビックプライドなどにも繋げていく狙いがある。また、TOMPLAも所在する「にいがた2km」へのドローン関連企業の集積にも期待だ。
首都圏と比較し、都市部でも駐車場などのスペースが取れ、また河川が中心部を走る新潟市中央区。藤本代表は「昔は舟だったが、これからはドローンに」と自信を覗かせた。
(文・鈴木琢真)
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