老舗日本茶専門店の山治園(新潟市)がオリジナルティーバックで新規顧客を開拓

時代のニーズにあわせ新たな挑戦

50年以上使い続ける焙煎機

新潟市中央区の沼垂四ツ角商店街にある日本茶専門店、株式会社山治園。店内はいつもほうじ茶の甘く香ばしい香りに包まれている。ここでは昭和6年の創業以来、ガス火で茶葉を炒る昔ながらの焙煎機を用いて、看板商品であるほうじ茶の焙煎を店頭で行なっている。ガス火の焙煎機は、一度に生産できる量が少ないことから今では使用する店も減っているが、それにこだわるのは、しっかりと中まで深炒りできることに加えて、都度目や舌で茶葉の状態を確認できるから。職人たちが手間暇かけて仕上げる山治園のほうじ茶は、香りもよく煎が効くと、常連客を中心に長年親しまれてきた。

その老舗日本茶専門店が、より幅広い世代に向けて日本茶の魅力を発信しようと、オリジナルティーバックを開発し、新規顧客開拓に向けた取り組みを進めている。

山治園のオリジナルティーバック

「多くの方に入れ立ての美味しさを知ってもらいたい」と話すのは、次期5代目の志賀幾久代さん。店で客を待っているだけでは日本茶の良さを広められないと3年前、沼垂テラス商店街(新潟市中央区)の朝市に参加して試飲販売を試みたという。そこでは、茶葉から抽出したてのお茶に感動する人々が多かった一方で、どのくらいの茶葉を入れたらいいか分からないといった声や、そもそも急須を持っていないと話す人も少なくなかった。そこで、誰でも気軽に楽しめるようにと、時代のニーズに合わせティーバック商品の開発に乗り出したのだ。

一般的なティーバックの茶葉は、色や味を素早く抽出できるように細かく刻んであるが、風味や香りを大切にする山治園では、雑味が出ないよう茶葉は刻まず、大きめのテトラ型バックに急須1杯分を贅沢に詰める。そうすることによって、急須で入れた味わいに限りなく近い、まろやかで冴えた旨みを感じられるお茶になるのだ。入れ方はもちろんお湯を注ぐだけ。いつでも簡単に上質なお茶を楽しむことができる。また、茶葉をたっぷりと入れているので、3杯目までしっかりと味が出るのも特徴。マイボトルに入れて持ち歩くにも丁度いい。

現在、ティーバック商品は、手作りの自家焙煎ほうじ茶、香り高さにこだわった緑茶、屋久島で採れた希少な国産紅茶など全10種類。水出しにも対応する。価格は1個入り180円(税別)。そのほか、贈答用に最適なセット商品もある。山治園のほか、ピア万代、栄パーキング、新潟駅構内の売店、東京・表参道新潟館ネスパスなどで取り扱う。

販売開始以降、手軽に本格的な味わいを堪能できると評判を呼び、売れ行きも好調であることから、昨年末には可愛らしいデザイン缶にティーバックを詰めた新商品を発売した。「日本茶をもっと身近に感じていただきたい」と志賀さん。積極的に外へ出て試飲会を開催するとともに、県内外への販路拡大にも力を入れる。

新商品の「おてだま缶 ティーバックシリーズ」。缶はインテリアや小物入れとして使えるので贈り物にも最適。アニメイラストなどを手がける大谷えいち氏にデザインを依頼した

珈琲のドリップバックも取り扱う。「雪室珈琲山治園オリジナルブレンド」

次期5代目の志賀幾久代さん(右)と山治園のみなさん

山治園。新潟市中央区沼垂東4−2−31

 

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