新潟市とグローリー株式会社(兵庫県姫路市)が顔認証決済の実証実験、にいがた2km圏内の10店舗で実施中
新潟市とグローリー株式会社(兵庫県姫路市)は15日、新潟駅・万代・古町をつなぐ都心軸「にいがた2km」圏内の10店舗で、「手ぶらで買い物」をテーマにした顔認証決済サービスの実証実験を開始した。グローリーが提供する決済サービス「BioPay」を活用した事業であり、街中の店舗というオープンな状況で運用する点が特徴となる。実施期間は、2月28日まで。
グローリーが提供する「BioPay」は、専用サイトで自身の顔画像やクレジットカード情報を紐付けて登録することで利用可能な決済サービス。感染症禍においてマスクで顔を覆われることが日常化したが、額や前髪、目元の情報なども判別してマスク着用のまま顔を識別可能な点や、タブレット端末を利用するため店側の導入が比較的容易な点が利点であるという。
今回は同社が新潟市の概念実証支援補助金事業に応募し採択され、実証実験を行っている。これまでにも大学内の学食や企業の社員食堂で導入をした実績を持つが、今回は新潟市内各地の実店舗でだれでも利用できる「オープンな環境」であることが1つの特徴となる。また、市とグローリーでは、今回を足がかりに「完全無人店舗」の実現も目指す。
実証実験初日となる15日の午前には、実施店舗の内の1つである新潟駅前の「&CAFE」にて、新潟市の中原八一市長が実際に顔認証決済を体験し、その認証スピードの早さやマスク着用のままでも利用可能な点に「画期的な技術だ」と驚いた様子を見せた。
「想像以上にスムーズで、急いでいる時にも良い。また感染予防の面でも有用性がある。こうしたサービスが普及すれば、市民もデジタルへ対する理解が進み、活用が進んでいくと思う。それが、『住んでも、訪れても良い新潟』に繋がっていくと期待する」(中原市長)。
先週8日には、鳥屋野潟(新潟市中央区)上空にてドローンを使用したコーヒー配達の実証実験が実施されたが、今後信濃川を利用するなど、こちらもにいがた2km内での活用が構想されている。新潟市では、市民のデジタルやテクノロジーへの理解度向上を通して、観光価値やシビックプライドの向上、IT企業の誘致を狙う。
一方、同店に来店し顔認証決算を利用した西区在住の女性も「QRなどの電子決算も利用したことはなかったが、登録や利用も簡単だった」と話し、今後の普及にも期待を話した。
実施店舗は、「&CAFE」のほかにも、新潟駅前の居酒屋「肉バル横丁」や、上古町の雑貨店「hickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ)」など10店舗。グローリーでは、様々な業態の店舗で使うことで、照明の違いなど多様な店内の環境下での運用を検証する技術的な目的もあるという。
(文・鈴木琢真)
【関連リンク】
グローリー株式会社 ニュースリリース「新潟県で初めて顔認証を活用した「手ぶら商店街」の実証実験を開始」
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