新潟県十日町市松之山温泉で江戸時代から伝わる小正月行事「むこ投げ」が行われる
新潟県十日町市松之山温泉で江戸時代から伝わる小正月行事「むこ投げ・すみ塗り」(むこ投げ・すみ塗り実行委員会主催)が15日、松之山温泉街の薬師堂で行なわれた。
「むこ投げ」とは、初婿を松之山温泉にある薬師堂の5メートルほどある崖の上から豪快に投げ落とす行事だが、祝福の意味のほかにも嫁を取られた腹いせに婿を投げるという意味が込められている。
今年は三条市出身・在住の菅家(かんけ)輝明さん(28歳)と杏美(あみ)さん(25歳)夫妻が一般公募し、輝明さんが主役となった。応募の動機を「子供のころから憧れていた」という夫妻だが、事前に「伝統のある貴重なイベントなので楽しみたいと思う」とのコメントを発表していた。
輝明さんは、「過去最高の飛距離を飛ぶ」と意気込んでいた通り、4人の担ぎ手から思い切りよく投げられ、崖の下の雪上に落ちていった。この日は、1年に1回の伝統ある“奇祭”を一目見ようと、アマチュアカメラマンなどの見物客が多く詰めかけていた。
その後に行われた「すみ塗り」では、「賽の神」という神事の灰と雪を混ぜたものを互いの顔に塗りあい、参加者たちはみな顔を真っ黒にして無病息災を願っていた。