サンフロンティア佐渡(新潟県佐渡市)が観光事業を強化

佐渡

ホテルや二次交通に加え、新たに古民家を使ったカフェ、お土産なども

東証一部に上場するサンフロンティア不動産株式会社の100%子会社で、佐渡島で観光事業を展開するサンフロンティア佐渡株式会社(佐渡市)が今春、観光事業を拡充する。現在展開しているホテル、二次交通(バス、タクシー、観光タクシー、レンタカー)、民泊、情報発信、観光・旅行事業に加え、古民家カフェやドンデン山荘の運営、お土産の企画販売を相次いで始める。

古民家カフェは昨年3月に取得し改修を進めてきた宿根木集落最大の古民家「宿根木古民家」を今年4月に「宿根木 古民家カフェ(おやすみ処、仮称)」としてオープンする。宿根木は、北前船の寄港地として発展した小木海岸の入り江の集落に位置する。今も100棟を超える板壁の民家が密集して町並みを形成していて人気の観光スポットになっている。こうした中、宿根木 古民家カフェでは、食事などの提供を予定している。

根木集落最大の古民家「宿根木古民家」を今年4月に「宿根木 古民家カフェ(おやすみ処、仮称)」としてオープンする

また、大佐渡縦走トレッキングコースの中間に位置し「花の百名山」に選ばれ、ドンデン山の登山客や観光客に利用されている宿泊施設「ドンデン山荘」の運営を4月から指定管理事業者としてスタートする。ドンデン山荘の売りの一つが、デッキからの眺望。「ドンデン山荘の海抜900メートルから日の出を楽しんでいただいた後、(同社が経営する)佐渡リゾート ホテル吾妻ではシーカヤックを使って海抜0メートルからの夕陽を楽しんでいただけます」(サンフロンティア佐渡・前田秋晴常務取締役)と話す。

さらに、鳥取県の製菓会社とコラボした、土産品2品の販売を3月15日に始める。具体的には、株式会社佐渡乳業(佐渡市)の牛乳を使った「佐渡ミルク サンドクッキー」と、佐渡海洋深層水の塩を使った「佐渡 塩キャラメル ラングドシャ」の2商品の販売を始める。

 

観光で佐渡を元気に

サンフロンティア佐渡の親会社であるサンフロンティア不動産の堀口智顕代表取締役社長(兼サンフロンティア佐渡代表取締役社長)は佐渡小木の出身。“経営の神様“と言われる稲盛和夫氏が主宰する盛和塾(昨年解散)で理事を務め、稲盛和夫氏を人生の師と仰いでいるという。

稲盛氏といえば、「利他」などの経営哲学が有名だが、サンフロンティア不動産でも「利他」を社是に掲げ、感謝、報恩を大事にするよう心がけている。こうした流れの中から、「育ててもらった佐渡」への感謝を込めて恩返ししたい(報恩)と佐渡の観光活性化を目指すサンフロンティア佐渡を2017年11月に設立した。以来、「観光で佐渡を元気にして、過疎で悩む全国各地の地方のモデルケースを構築したい」(前田常務)と矢継ぎ早に観光事業を立ち上げている。

第一弾として、2017年12月、「ホテル吾妻(現・佐渡リゾート ホテル吾妻)」(客室数54)を譲り受けた。大正14年(1925)創業の老舗旅館で、佐渡北部の最も西側に位置することから、「夕陽に一番近い宿」として親しまれてきたという。

同社では事業取得後、総額約2億5000万円を投じ、現在進めている改装工事を含めて3回の改装を行ってきた。3回の改装工事で必要な改装はほぼ終わり、3月14日にリニューアルオープンする。

また事業を譲り受けた後、今後増加が見込める(長期滞在の)インバウンド観光客を念頭に、ホテル名を「佐渡リゾート ホテル吾妻」に改称した。「プライベートビーチ、夕陽、露天風呂などがあります。(短期旅行者と異なり贅沢に時間を過ごす)インバウンド観光客の方には通年を通じて、ゆっくりと過ごしていただけます」(同)と話す。

佐渡リゾート ホテル吾妻は3月14日にリニューアルオープンする

2018年7月には、「たびのホテル佐渡」(客室数111)をオープンした。佐渡観光の課題は老朽化した宿泊施設との指摘もある中、清潔感の漂うこのホテルは、ビジネス客、観光客などに加え、女性客のニーズも取り込んでいる。

たびのホテル佐渡

さらに2018年8月には、観光交通事業を行う、おけさ観光タクシーの株式を譲り受けて、観光タクシー(小型タクシー、ジャンボタクシー)、観光バスの運行を始めたほか、2019年には格安レンタカー「気軽にレンタカー」を立ち上げるなど、佐渡島内での二次交通の強化にも乗り出している。

このほか、2019年に観光ポータルサイト「佐渡日和」の株式を譲り受けたほか、着地型の観光旅行事業「ハッピー佐渡トラベル」を開始している。「佐渡日和では、観光情報とともに、スポーツイベント、トレッキング、鼓童など着地型の観光プランなども紹介しています」(同)。

まだ2年余りだが、相次ぐ観光関連事業の立ち上げで、ピーク時(観光シーズン)には110名の雇用を創出するまでになっている。ただ、この急拡大は、あまりにも目立つため、「佐渡でビジネス(金儲け)をしているだけ」と、やっかみの対象にもなりかねない。こうした見方に対し、前田常務は、「(社長の)堀口は本当に佐渡の活性化を考えています。ただビジネスをするだけなら箱根の方がいいに決まっています(笑)」と話していた。

 

今後も相次いで観光関連の新規事業を開始

一方、冒頭で紹介した通り、今春、観光関連の新規事業を相次いで始める。加えて今後も古民家を使った民泊事業を強化していくほか、直売所・物産コーナー・飲食コーナーからなる観光スポット「島の駅」構想も進めているという。「古民家を使った民泊事業は昨年5月に沢根の戸建を取得し始めていますが、今後、主力の事業になっていく可能性があると考えています」(同)。

前田秋晴氏。サンフロンティア佐渡㈱常務取締役兼管理本部長。佐渡生まれ。JA新潟中央会勤務。その後、佐渡に帰郷し農業に従事。さらにその後、JA佐渡専務理事や理事長を歴任。サンフロンティアの堀口社長とは、佐渡国際トライアスロン実行委員会を通じて出会ったという

 

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