新潟県文化財保護審議会で新潟県文化財について答申
10日に開催された新潟県文化財保護審議会(橋本博文会長)において、新潟県文化財について答申が出された。正式決定は、教育委員会3月定例会の議決後の県報告示(3月末予定)をもってとなる。
指定を受けたのは、。有形文化財(絵画)1件、有形文化財(工芸品)1件、有形文化財(考古資料)2件の計4件。
これにより新潟県指定の文化財の件数は、有形文化財(絵画)17件、有形文化財(工芸品)31件、有形文化財(考古資料)141件、その他の有形文化財141件、無形文化財7件、有形民俗文化財14件、無形民俗文化財17件、史跡名勝天然記念物104件の合計381件となる。
指定の答申を受けた物件は表の通り。
【絹本著色宝塔絵曼荼羅】
・妙法寺所蔵の仏画(法量cm:縦85.0×横38.3)。
・法華経を絵画化の上、本尊とした日蓮宗独特のものであり、保存状態は良好である。
・技法の特徴から、桃山〜江戸時代初期の制作と思われるが、最低限の構成要素で人物を描く点などは宝塔絵曼荼羅の元初的な形式を示している。
・関東系日蓮宗の特徴である宝塔を象る絵曼荼羅であることは、妙法寺が関東系日蓮宗の影響下にあることを示すとともに、越後の日蓮宗のあり様を考える上で貴重である。
【屈輪文堆朱香合】
・浄興寺所蔵の香合(法量cm:径11.1×高3.4)。
・朱漆を表層として厚く塗り重ねた漆の積層に文様を彫り込む彫漆(堆朱)という漆工技法並びに、眼鏡形屈輪文及び四稜の菱文から、13〜14世紀に中国で制作されたと考えられる。
・中国製の良質な彫漆作品と捉えられる本作は、中世〜近世にかけて書院飾りの道具として至上の作と位置づけられてきた工芸品であるとともに、所蔵する浄興寺の隆盛時期を裏付けるものとして貴重な文化財である。
【野首遺跡出土品】
・十日町市に所在する縄文時代中期・後期の大規模集落からの出土品である。
・土器は、遺存状態が良好な優品が多く、火焔型土器などは、地域的特徴と変遷が分かる。
・石器には、50km以上も離れた地域の石材が使われており、信濃川を介した人々の往来や物資の交換が推定される。
・信濃川流域における縄文時代中期〜後期の遺跡の様相を良く示すとともに、他地域との交流が明らかにできるなど、学術的価値が高い。
【田伏玉作遺跡出土品】
・糸魚川市に所在する古墳時代中期〜後期の玉作遺跡からの出土品である。
・地元産の滑石を素材とする玉類(管玉・勾玉など)の未製品と制作工具があり、玉作の制作工程を具体的にたどることができる。
・土器は、玉作年代を明らかにする重要な資料であるとともに、土器の編年研究にも寄与した。
・本県における古墳時代の玉作や土器編年を考える上で、学術的に極めて貴重な資料である。
【佐渡貝塚群(堂の貝塚)出土人骨】※追加指定 人骨1体
・平成27年度指定「佐渡貝塚群(堂の貝塚・藤塚貝塚・三宮貝塚)出土品」への追加指定である。
・本資料は、墓から出土した人骨で、両膝を折り曲げた姿勢で埋葬されていた、縄文時代中期の男性人骨である。頭部付近に精巧な作りの石鏃13本が置かれ、胸部付近からイタチザメの歯を加工した製品1点が出土した。
・同様の副葬品を持つ埋葬人骨は全国的にも稀有であり、また残存状況が良好であることから学術的価値が極めて高い。