新潟市が「DX人材育成プログラム」を開始、多様な業種の12社から20人が参加

DX人材育成プログラムには12社から20人の受講者が集まった

新潟市は20日、市内の中小企業を対象とした「DX人材育成プログラム」を開催し、12社から20人が参加した。企業人材のデジタル活用への理解を深めることを目的とし、今後1ヶ月半に渡る講習が実施される。

新潟市では2021年9月、市内1,000の事業所を対象にDXの取り組み状況を把握するためのwebアンケートを実施。DX推進のための課題を複数回答可で尋ねたところ、「DXを担う人材が社内で育成できない」と49.4%の企業が回答し、また「社員全体のITリテラシーが不十分」(44.6%)という回答もつづいて、デジタル人材の育成に苦慮していることが浮かび上がる。

また市経済部成長産業支援課の宮崎博人課長は「デジタルを理解して、それをどう自社に適応できるかを考えて社内に伝えることのできる人材がいないと、デジタル技術を導入しても応用ができず、聞いてきた話を実行するだけで終わってしまう」と危惧する。

一方で、中小企業にとっては新たにデジタル人材を雇用することや、自社でセミナーを開催することはハードルが高い。今回のプログラムは、そうした中小企業のDX課題を解決する目的がある。

プログラムの内容は、これまでにも自治体などへ向けたDXの講習経験を持つ株式会社ITスクエア(新潟市中央区)が企画。市では、地場の状況や企業の要望に沿ったプログラム構築に期待を寄せる。

第1回ワークショップで挨拶に立つ宮崎博人課長

20日の初回講習ではキックオフ講演として、富士通株式会社のシニアエバンジェリスト・松本国一氏がオンラインで講壇に立った。松本氏は中国企業を例にDX事例を紹介する一方で、海外事例をそのまま取り込むのではなく、社会・企業風土の異なる日本に合わせた形を考える必要があると語る。また、「『デジタル』ではなく『トランスフォーメーション』、何を変えるのかが重要」とデジタル先行ではない点を強調した。

今後の内容は専門講師による講演とワークショップを基本としつつ、「ビジネス」や「データ・AI」の活用などの3つのコースに別れ、約1ヶ月半に渡る講習を行う。市ではデジタルを活用による企業間の共創を促す「DXプラットフォーム」を進めるが、今回の事業でもワークショップを通じて企業の交流と接点を作る狙いもある。

そのためプログラム参加企業は多様な業種が選定。運送・引越業務の匠サポートサービス株式会社(新潟市西区)の参加社員は、現状手入力となっている配車管理業務をデジタルにして効率化することを考えているという。また、燃料の高騰で業界全体が苦境を強いられる中、今後の講習を通して効率化の道を探ることにも期待を持っているようだ。

(文・鈴木琢真)

 

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