新潟県上越市の高田文化協会に文藝春秋創業者の菊池寛の机が残る
上越市で会員制の文芸同人誌「文芸たかだ」を61年間発行している高田文化協会(藤林陽三会長)の事務所に、作家で文藝春秋創業者の菊池寛(1888年~1948年没)が日本文藝家協会の会長時に使った机が残っている。現在も同協会副会長の河村一美さんが事務所内で10年近く使用している。
同協会は1945年に上越市出身の芥川賞作家、小田嶽夫らが高田文化懇話会を結成したことに由来し、1959年に「文芸たかだ」創刊号を発刊。以来、61年にわたり、発行を続けている。小田は1936年に「城外」で第3回芥川賞受賞を受賞している。同誌は地方の同人誌では稀な存在で、2013年に長年の発行をたたえられ、文部科学大臣から表彰を受けている。
菊池寛は「父帰る」などで有名な小説家だが、文芸春秋を創業し、芥川賞、直木賞を設立したことでも知られる。自ら日本文藝家協会を設立し、初代会長に就いた。同協会会長時代に使った机が、知り合いのつてで高田文化協会に運び込まれた。
河村さんは、同文化協会副会長兼事務局長として、同市本町の事務所に常駐。2か月に一回発行する同人誌の原稿依頼などを担当している。上越市出身の児童文学作家、小川未明を顕彰した小川未明文学賞の優秀賞を昨年受賞した。題材は高田瞽女(ごぜ)で、今年2月に単行本を出版する。
現在、同協会は会員が約280人。会員の高齢化により減少傾向にあるが、現在、会員を募集している。会員になると投稿も可能になる。