ユネスコ無形文化遺産に、新潟県から「綾子舞」と「大の阪」を提案・登録見込み
令和4年11月頃、ユネスコ無形文化遺産に決定の見込み
新潟県の民俗芸能「綾子舞(あやこまい)」と「大の阪(だいのさか)」を含む全国37件の「風流踊(ふりゅうおどり)」が、ユネスコ無形文化遺産への提案候補に選定され、登録される見込みとなった。
18日の県の発表によると、県の国指定重要無形民俗文化財「綾子舞」(柏崎市)と「大の阪」(魚沼市)を含む37件が、19日に開催される国の文化審議会において、「風流踊」としてユネスコ無形文化遺産への提案候補に選定される。選定の内容は、さらに3月に行われる無形文化遺産保護条約に関係する省庁の連絡会議の審議を経て、国が提案書をユネスコ事務局に提出。ユネスコ評価機関による勧告と、ユネスコ政府間委員会の審議を受けて決定・登録されるのは、令和4年11月頃になる見込み(通常の流れでは令和3年11月頃の決定・登録だが、審査件数の制限などにより日本のユネスコ無形文化遺産の審査は実質2年に1件のため、翌年となる見通し)。
柏崎市の「綾子舞」は、同市にある黒姫山の麓、女谷の高原田、下野に伝承され、毎年9月に現地で演じられる民俗芸能。その由来は諸説あるが、長いたもとの振袖にだらりの帯、ユライと称する赤布を頭にかぶった少女の舞踊である小歌踊は、初期歌舞伎踊りを知る上で重要とされている。また囃子舞と狂言も、芸能史的価値が高いとされている。国の重要無形民俗文化財に指定されたのは、1976年。
魚沼市の「大の阪」は、同市堀之内に伝わる盆踊。毎年8月14日から16日の3日間、八幡宮境内に建てられた、高さ6メートルほどの櫓の周りで踊られる。太鼓の拍子に合わせて左回りに、緩やかに足を運び手振りをしていく踊りと、「南無西方」の文句が入った歌を音頭取りと踊り子が交わしていく様子は、地域的特色が顕著で、伝統的な祖先供養の盆踊の要素を今に伝えるものとされている。1998年に、国の重要無形民俗文化財に指定された。
この2件を含む37件を「風流踊」として、国がユネスコ無形文化遺産に提案する。提案では「風流踊」は、「華やかな、人目を惹く、という「風流」の精神を体現し、衣装や持ちものに趣向を凝らして、歌や笛、太鼓、鉦(かね)などに合わせて踊る民俗芸能」(文化庁の資料による)であるとする。またそれは、各地域の歴史と風土を反映し、多彩な姿で今日まで続く祭礼や年中行事であり、除災や死者供養、豊作祈願、雨乞いなどの安寧な暮らしへの祈りを込めて、世代を超えた地域の人が参加する。地域の活力の源として、今でも大きな役割を果たしているものとして提案する予定。
なお新潟県では2009年に、「小千谷縮・越後上布」が、ユネスコ無形登録文化遺産に登録されている。3月に提案される2つの「風流踊」は、これに続く登録となる見込み。