新潟県阿賀野市で、全国初の自動制御の除雪トラックが登場
北陸地方整備局北陸技術事務所は20日、新潟県阿賀野市で、全国初となる自動制御を導入した除雪トラックのデモンストレーションを実施。長岡市や北海道開発局、東北地方整備局など県内外の除雪が必要な地域を管轄する行政機関や地元の除雪業者など総勢約50人が集まった。
今回、自動制御化された部分は、除雪トラックが交差点などに差し掛かった際、路上に雪を残さないよう手動で下ろしていたサイドシャッタ装置だ。自動制御化に当たっては、日本版GPSとも呼ばれる準天頂衛星システム「みちびき」を活用。さらに、位置情報と合わせて除雪作業を行う現地の地図情報も必要となることから、必要なデータを地図化するため、MMS(Moblie Mapping System)計測を行い、上空からでは計測できない地物も取得して地図を作成したという。
除雪トラックの自動制御化を進める背景には、少子化や高齢化に伴い除雪作業の担い手が減少していることや、路面状況や道路構造、沿道状況に合わせ細かく作業装置を動かすオペレーターの負担を軽減することなどがある。こうした事情から、北陸地方整備局は2018年から、除雪トラックの自動制御化に着手。除雪業者などへの聞き取り調査や装置の試作段階を経て、サイドシャッタ装置の自動制御化を実現。今年2月から国道49号線上の安田工区の2km上下線のみではあるが、既に2度にわたって実際に運用されている。
この日は、実際に運用されている区間である国道49号線上で、除雪トラックのデモ走行を実施。小雪の今冬こそ活躍の機会は限られるが、来冬以降の活躍が期待される。
さらに、北陸地方整備局は次のステップとして、除雪トラックの残り2つの装置である、新雪を外に飛ばすフロントプラウや圧雪をはぎ取るグレーダ装置の自動制御の実用化に向け、更なる開発を進めている。ただ、この2つの装置はサイドシャッタ装置以上に、対向車や変化する道路状況に対応する高い安全性が求められるため、より詳細な道路情報を収集するとともに、精密な動作を実現させる装置を作る必要があるといった課題があるという。