ホクギン経済研究所による「東京オリンピック・パラリンピックと新潟県内の地域活性化」まとめ
ホストタウン事業に9つの地域、公式ライセンス商品に「小千谷縮」と「小千谷上布」
新潟県内における、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに関連しての地域活性化への動きを、ホクギン経済研究所がまとめた。
7月に開会予定の東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京大会)は、206の参加国・地域を中心に、11,000人を超える選手が参加する上、多数の観戦・観光客の訪日は確実。そこで競技会場のある都市以外でも、同大会を地域活性化や観光振興などにつなげるべく、様々な取組みが行われている。その中でホクギン経済研究所がまとめたのは、「ホストタウン事業」と「伝統工芸品等の公式ライセンス商品化」についての、県内での取り組み。
ホストタウン事業とは、東京大会の開催効果を全国に波及させるべく、事前合宿の誘致や参加国・地域との交流事業などを担う地方自治体をホストタウンとして登録する、政府の取組み。登録を受けた自治体では、関係府省庁からの各種地方財政措置、人材の派遣、政策情報の提供等の、支援を受けられるメリットがある。2019年12月末時点での登録は、405件の事業所と478の自治体。
新潟県内でこのホストタウン事業に登録しているのは、新潟県、新潟市、長岡市、燕市、五泉市、弥彦村の合同地域と、自治体単体での新潟市、長岡市、三条市、柏崎市、小千谷市、加茂市、十日町市、妙高市、上越市の合わせて9地域。相手国は新潟市がフランス(競技はレスリング等)、上越市がドイツ(同、体操等)など大国の選手を受け入れる市もあるが、三条市がコソボ共和国(同、柔道)の選手を受け入れるなど、あまり馴染みのない国・地域の選手団を受け入れる市もある。
ホストタウン事業で懸念されていたのが、ロシアについて。加茂市が同国の男女体操チーム、新潟市が新体操代表チームと事前合宿の協定を締結していたが、ドーピング問題で同国は東京大会などから4年間の除外処分に。しかし橋本五輪担当大臣は「個人の参加受け入れでも特別交付税の措置は変わらない」旨の発言をしており、また両市および政府もホストタウン事業の後押しをしている。
一方、伝統工芸品等の公式ライセンス商品化は、オリンピック・パラリンピックに関連するマークを契約した商品(公式ライセンス商品)に使用して製造販売する、東京2020ライセンシングプログラムのことをさす。プログラムから得られる収益は、東京大会の準備金・運営費、日本代表選手の育成・強化事業等に活用される。
新潟県からは、小千谷市特産の麻織物「小千谷縮」と「小千谷上布」を使用したテーブルセンターが、公式ライセンス商品に。小千谷縮では、東京大会エンブレムにもなった市松模様を表現し、公式キャラクターをイメージした藍色と桜色の2種類を制作し販売している。
また公式ライセンス商品以外でも、燕市が産地の洋食器が、選手村の食堂で使用されるカトラリーに採用されるほか、五泉市の新潟染工株式会社が開発した撥水生地が、ミズノの競泳用水着に採用。これらもまた、新潟県内の技術を大いにPRできる好機を捉えたことになる。
レポート全文は、株式会社ホクギン経済研究所(第四北越フィナンシャルグループ)発行の「ホクギンマンスリー No.261(2020年2月号)」に、特集「東京2020オリンピック・パラリンピックにみる地域活性化への取り組み」と題して掲載されている。