新潟県上越市の新年度当初予算案は前年同期比6・7%減の916億7942万円、交流人口の拡大目指す
上越市がこのほど2020年度の当初予算案を発表。一般会計の予算規模は916億7942万円で、前年度当初予算より6・7%減となった。減額の要因は上越体操場「ジムリーナ」などの大規模な建設事業が完了したため。特別会計を含めた予算規模は前年度比0・6%増の1794億1731万円となった。全般的に交流人口の拡大に力を入れている方向が見て取れる。今月28日に開会する上越市議会3月定例会で審議される。
産業、まちづくり、観光の新規事業に絞って見ると、まず、地域中核企業の成長を支援するため、新たに地域中核企業成長促進事業として3311万円を計上。2018年に東京圏への人口流出の抑止が期待される中枢中核都市に選定された。昨年6月に経済産業省から支援事業として採択を受け、関連の施策を実施する。研究開発や生産性の向上などに取り組むものづくり企業を集中的に支援することにより、当該企業や関係する地域企業の成長を促し、地域内外からの雇用や地域内取引の増加を目指す。
また、城下町高田の歴史や文化を生かした事業として、新たに街なか回遊観光事業(160万9000円)、レンタサイクル事業(4万5000円)、手仕事文化の継承と発信(11万7000円)、歴史的旧家連携交流支援事業(1027万2000円)を計上。回遊観光事業は高田地区の歴史的建造物などのガイドブックを作成するほか、日本スキー発祥記念館、坂口記念館、高田城三重櫓(やぐら)、歴史博物館、小林古径記念美術館を見学できる共通入場券を発行する。
レンタサイクル事業は高田地区で実証実験として、レンタサイクル事業を行うほか、手仕事文化の継承と発信は、旧今井染物屋で手仕事文化を発信するため、地域おこし協力隊の募集を行う。また、歴史的旧家の連携については、歴史的旧家の連携に取り組む市民団体の活動支援や、環境整備を行う。
さらに、まちづくりを担う次世代の人材発掘や育成として、新たに若者などの活躍と将来のUターン促進の取り組みに233万6000円を計上。具体的には、若者が気軽に参加しやすい交流会を開催するほか、同市の魅力を伝える映像を高校生とともに制作し、発信する。また、市内在学の高校生や同市出身で市外に居住する子育て世代に向けて、SNSなどを活用し、魅力や子育て支援制度などを発信する。
また、観光分野では、新たに観光地域づくり実践事業(205万9000円)、「地域の宝」認定制度(2万1000円)のほか、インバウンド推進事業補助金として150万円を計上した。観光地域づくり実践事業は、観光に意欲的に取り組む市民や企業を対象にした「観光地域づくり実践未来塾」を開講するほか、SNSを活用した市民対象のフォトコンテストも実施する。「地域の宝」認定制度は有形・無形の文化財を「地域の宝」を認定する制度を創設する。インバウンド推進事業は、多言語翻訳機の購入費を新たに補助対象とする。