東京商工リサーチ新潟支店が「2020年2月度の新潟県企業倒産状況」を公表
東京商工リサーチ新潟支店が、2020年2月度の新潟県企業倒産状況をまとめた。
レポートによると、2月の新潟県内企業の倒産件数(負債総額1,000万円以上)は6件で、負債総額は2億8,200万円。前年同月比で件数としては1件減り、負債総額では2億1,500万円の減少(43.3%減)。前月比では件数は横這い、負債総額では25億2,9000万円の減少であった(90.0%減)。
1月は新潟紙器工業株式会社(加茂市、資本金6300万円、従業員59名)など2社が、負債総額10億円以上で倒産したのに対し、2月は1月と件数は同じながら小規模倒産が占めたため、負債総額は大きく減った。ただその中でも負債総額が大きかったのが、同1億円で破産手続が開始された株式会社日生興業(新発田市、資本金2,000万円、従業員3名)。同社は1976年設立で、新潟市中央区米山の居酒屋「味処 九右衛門」など複数の飲食店を経営していた。
「味処 九右衛門」は、新潟の地酒と地元の鮮魚を中心とした刺身・焼魚等の割烹料理をリーズナブルな価格で提供していたが、同業の競争が厳しくなった中、来店客が減少。日生興業では他の店舗を順次閉鎖しながらも、2019年2月には資金ショートを起こし、資金繰りの厳しさが表面化。さらに同年9月には、店主の入院を理由に同店を閉鎖し、事業回復の見通しも立たないことから今年2月、破産手続開始の措置がなされた。
この日生興業を含む、2月の産業別の倒産件数では、「サービス業他」が3件、「製造業」「卸売業」「情報通信業」が各1件で、その原因はすべて「販売不振」。地域別では「新潟市」が4件で、他に「新発田市」「小千谷市」が1件ずつ。
東京商工リサーチ新潟支店の現状認識では、新潟県内で1月に負債総額10億円以上の大型倒産が2件あったことを踏まえた上で、それ以前と比較すると「変化が見え始めている状況」だという。1月までは記録的な小雪がスキー場などの観光施設に大きな影響を与えたほか、新型コロナウイルスの全国的な拡大も大きな懸念材料。にいがた酒の陣が中止になったことは記憶に新しいが、こうした悪材料が重なり、企業の投資意欲や積極展開の減退、見込んでいた計画の狂いが大小生じるなどの結果、倒産が増える可能性は否定できないと結んでいる。