新潟県加茂市暁星高校野球部マネージャーが部活動後に死亡、遺族が学校側を提訴
平成29年7月21日に新潟県加茂市の加茂暁星高校2年生の野球部女子マネージャーが部活終了後に倒れ、後日搬送の先の病院で死亡した事案について、亡くなった生徒の遺族が4日、学校側を相手取り民事訴訟を提起した。第1回の口頭弁論は4月後半から5月に行われる見通しだ。
この日は、原告代理人で新潟合同法律事務所の二宮淳悟弁護士が、これまでの経過や訴訟の概要などについて説明した。二宮氏によれば、遺族は昨年2月から約1年にわたり、加茂暁星高校と民事調停(謝罪・再発防止・民事賠償)で話し合いを行っていたものの、事案に関する法的責任の有無をめぐって平行線が続き、合意に至らないまま不成立となったという。調停で、遺族は学校側に対し、真摯な謝罪及び再発防止の徹底を求めていたものの、これらが叶わなかったため、やむを得ず民事訴訟を提起するに至ったという。訴訟での賠償請求額は計6339万8036円。
訴訟理由としては、夏の最も暑い時期で当時、非常に高い温度・湿度にも関わらず、マネージャーにランニングをさせた指導監督上の注意義務に違反した過失、マネージャーが倒れた後に適切な救命措置を講じなかったことと説明。予想される争点としては、学校での事故における適切なAEDの使用を含めた救命措置があったかどうか、との点を挙げた。二宮氏は「学校側は、手を尽くしたため法的責任はないとの立場かもしれないが、運動中の心臓細動は既往症の有無に関わらず誰にでも起こり得ること。救急車が到着するまでの間、AEDを含め適切な救命措置を施さなかったことは許されない」と話した。
なお、事案発生前に公表されていた日本赤十字社の蘇生ガイドライン2015が示す市民が行う一時救命処置の手順によれば、運動中の心停止は心室細動による不整脈が起こり心停止することがほとんどで、救急車が到着するまでの間に応急手当である心臓マッサージはAEDによる心拍再開の効果を高めるためにも、心拍再開後に脳に後遺障害を残さないためにも重要だという。