国交省北陸信越運輸局が、新型コロナ感染拡大に伴う高速バス及び貸切バスのキャンセル状況を公表
国土交通省北陸信越運輸局は12日、管内の事業者を対象に行った調査「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う高速乗合バス及び貸切バスのキャンセル状況」の結果を公表した。
調査の対象事業者は、管内にある高速バス会社(新潟7、長野10、富山3、石川6の26社)と、貸切バス会社(新潟73、長野108、富山33、石川53の267社)。
メールにより1月から2月のキャンセル状況、対前年同期と比較した感想などを調査した。調査期間は2月25日から3月5日。回答率は高速乗合バス会社が34.6%(9社)、貸切バス会社が48.7%(130社)。
高速バスでは、1月から2月にかけて、9社合計で、11,935名、5,268万円のキャンセルがあったという。このうち新潟県を見ると、3社で1,716名、1,053万円のキャンセルが発生した(いずれも回答のあった会社の平均値)。
主な感想としては、「県内での感染報告、政府による休校要請、東京ディズニーランドの休園発表を契機にキャンセルが急増し、3月は前年比5割程度減となる見込み」(A社)、「例年3月は学生の春休みで相当数の利用が見込まれるが、直近の予約状況では前年比7割減となる見通し」(C社)などがあった。
一方、(観光バスなどの)借切バス会社では、1月から2月にかけて、15件(19台)、426名のキャンセルがあり、274万円のキャンセル金額が発生したという。このうち新潟県内(回答数28社)を見ると、10件(13台)、263人のキャンセルがあり、155万円のキャンセル金額が発生した(いずれも回答のあった会社の平均値)。
貸切バスのキャンセルのうち、インバウンドに関しては、キャンセル件数17件(19台)、366名のキャンセルがあり、キャンセル金額は366万円だった(いずれの数値も回答のあった会社の平均値)。このうち新潟県を見ると、1.5件(1.5台)、37名のキャンセルがあり、36万円のキャンセル金額が発生した(いずれも回答のあった会社の平均値)。
鉄道、船会社に対してもヒアリング調査
一方、管内の主だった事業社に対し、2月の経営状況や、3月の影響見通し、コロナ感染拡大が長期化した場合の影響見込みなどについて、ヒアリング調査も行ったという。それによると、乗合バス会社については、資金繰りについての不安の声は少なかった。一方、インバウンドの利用が多い高速バス、観光路線での前年比20〜50%の減収となっているという。
また、3月からの一斉休校により、学生輸送に特化したダイヤを運休している会社があるほか、通学定期券の払い戻しなどが発生。4月から5月にかけて修学旅行が100%延期・中止になった会社もあったという。
このほか、運転者が感染した場合に通常ダイヤが運行できなくなることを懸念する声、消毒液やマスクの入手が困難になっている声、足元の資金繰りを懸念する声(貸切バス会社)があったそうだ。
長期化した場合については、従業員の給与などへの対応が困難になるといった声があった。
タクシーについては、足元の資金繰りに不安を覚える会社があったほか、暖冬の影響もあって前年同期比40%売上が落ち込んだ会社もあった。3月中の影響見通しについては、本来、送別会や花見などがあり繁忙期に当たる時期だが、需要は極端に少ない状況で推移する見通しという。なお通院利用など生活に密着した需要の多い地域よりも、観光客の需要が多い地域のほうが影響が出ている。
レンタカーについては当面影響が出ていないようだが、長期化した場合には、需要が減少していくという声があったという。
JR以外の鉄道会社については、2月に1〜2割程度の利用減といった影響が出ているほか、一部の観光列車や沿線イベント向けの臨時列車が運休になった。定期列車については減便なしという。3月の影響見通しについては、観光列車などの団体客予約キャンセルがあるほか、全体の鉄道利用もイベント中止などでさらに大きくなる見通し。このほか、現状のまま新年度を迎えた場合、通学定期券販売への影響を懸念する声があった。
旅客船会社については、オフシーズンではあるが、2月からツアーのキャンセルが目立ち、旅客数が減少してきているという。ただ、経営に大きな影響は出ていない。3月中の見通しについては、様々なキャンセルが発生していて、旅客数はさらに減っていく見通しという。
一方、上記の実績については2月までのもので、廃業など差し迫った状況に追い込まれたという会社はなかったが、今後は出てくる可能性もあるという。