新潟県佐渡市井坪で無許可で行われた盛土について、原因などの調査を実施
新潟県は4日、佐渡市井坪地内において無許可で行われた盛土について、原因と再発防止策を取りまとめて発表した。現状はすぐに土砂が流出する状況ではないものの、県では今後、地質調査や応急の工事などの対応をとっていくという。
静岡県熱海市で2021年7月に発生した土石流災害を受け、県では国からの要請で盛土総点検を実施。2021年11月にはその結果として、県内4ヶ所の盛土の問題を示した。
今回の会見では、その4ヶ所のうち県が「無許可でかつ盛土の構造を詳細に調査する必要のある」とした佐渡市井坪地内の盛土に関しての調査結果を発表。
同地内においては、新潟県の公共下水道工事(1995年から1998年)と港湾工事(2018年)、佐渡市(当時の小木町)の公共下水道工事(1995年から2005年)と漁業集落排水工事(2001年から2003年と2006年から2009年)で生じた残土処理として無許可で盛土が行われていた。砂防法および新潟県砂防指定地等管理条例に該当し、搬入量の合計は5万5,795立方メートルになる。
県が実施した当時の文書や担当者などへの調査によると、砂防指定前の1995年度から、工事を行う県(公共下水道工事(代行)担当部署)と佐渡市(当時の小木町・公共下水道工事担当部署)により残土搬入が開始。
1997年6月に、当該地を含む土地について砂防指定が官報告示されたが、工事を行う佐渡地域整備部(当時の相川土木事務所)と佐渡市(当時の小木町)の中で指定に関する情報共有が不十分であったという。そのため、前述の県と佐渡市では砂防指定地であることを確認せずに残土搬入を続けていた。
加えて、残土の搬入が慣例的に行われていたことから確認が疎かになっていた点や、同地域整備部の管内図が、砂防指定地の範囲が分かりにくいものを使いつづけていたことも無許可で盛土が繰り返される要因に繋がった。
同盛土は、最初に結果が出された11月に専門家による現地調査が行われ、「今すぐに崩壊させ被害を及ぼす可能性は低い」と結果が出ているが、県では「盛土の安定性を調査する必要がある」として、今後地質調査などを実施していく。なお現在は、定期的なパトロールや、排水処理のための応急水路工事を実施している。
新潟県土木部砂防課の深田健課長は「幸いにも今すぐに土砂が流出する危険性があるわけではないが、住民の安全のため、万が一にも被害が出ないような体制を構築していきたい」と話した。