ニュース番組「ニューズ・オプエド」に衆議院議員の鷲尾英一郎氏と麗澤大学客員教授の西岡力氏が出演し「佐渡島の金山 」について語る
3日18時から19時まで配信されたニュース番組「ニューズ・オプエド」に、衆議院議員の鷲尾英一郎氏と、麗澤大学客員教授の西岡力氏が出演し、特集「佐渡島の金山 ユネスコの国内推薦決定」について語った。
西岡氏は「佐渡島の金山」の国内推薦決定について、「良かったと思っている。本来なら文化庁の審議会が推薦に値すると決めた時点で、(「選定は推薦の決定ではなく今後政府内で総合的に検討する」という注釈がつく形ではなく)すぐに(政府の)推薦が決定するのが本来のあり方だと思う。韓国側からさまざまな議論もあったことが(すぐに決定しなかった)理由じゃないと政府は言っているけれども、そのことが理由。韓国側のクレームは根拠がない歴史的事実に反することだから、そのことを理由に延期するなんてことはあってはならないと強く思ったので今回の決定は、そういうことに屈せずに決定したのでよかった」と話した。
鷲尾氏は、政府の推薦決定までの経緯について、「自民党内に保守団結の会があり、新潟県の同じ(衆院議員の)高鳥修一さんが会長やっている。(高鳥氏は)安倍さんの側近でもあるので、この保守団結の会がしっかり動いて、高市政調会長が予算委員会でしっかり質問をして、安倍さんもそれをしっかりと受け、これは歴史戦なんだと発言もされ、だんだん、『これは韓国側が発言を強めるということに対応して、こちらはしっかりと正々堂々と根拠なきことに対して、しっかりと(勧告や国際社会と)議論をして、それで登録を目指すべきだ』ということで党内が盛り上がった。最終的に岸田総理が政治決断をされた。こういう経過だと認識している」と語った。
一方、今回、クローズアップされた佐渡金鉱山での強制労働の有無について、西岡氏は「文化庁の審議会が、普遍的価値を認めて推薦に値すると答申を出したその日に、推薦すべきじゃないということを韓国の外務省が公式に論評を出した。その理由は金山が朝鮮人の強制労働が現場だったということ。しかしその主張は2つの意味でおかしい」と話した。
1つ目は、現在、佐渡金山がユネスコに登録しようとしている施設は、江戸時代の施設であること。「昭和の時代の、徴用とまったくなんの関係ない関係もない。だから韓国は当事者じゃない」という。
2つ目は、そもそも佐渡金山は韓国が主張する強制労働の現場でないことをあげた。「前の戦争の時、朝鮮は日本の領土だったので、そこで国家総動員法に基づく労働動員を行った。しかしその労働動員は当時国際法に違反するとされていた強制労働ではなかった、というのが日本政府の見解。昨年4月に菅内閣が閣議決定をしており、日本が行った朝鮮人労働者(当時は日本人)の戦時動員は、国際法に違反する強制労働ではない、だから教科書に強制連行という言葉を使うことはふさわしくないという閣議決定をしている」という。
続けて、「当時、強制労働は違反だという国際条約(強制労働に関する条約)に日本も入っていた。その条約には例外規定があり、戦争中に労務動員することは、この条約に関する強制労働に入らない。どの国でも(総力戦と言われる近代の)戦争中には徴兵もするし労務動員もする。日本もその条約に入ってそれを違反していないというのが日本政府の立場」と説明した。
また「当時の資料を調べてみると、朝鮮半島から日本に戦時動員が行われた1939年から45年の間に約240万人が内地に渡航している。そのうち、国家総動員法に基づき動員された人は60万人。残りの180万人は自発的渡航者、つまり日本に来たい人たちがたくさんいた。その中でその人たちを戦争に必要な職場に導こうとしたのが、当時の戦時動員政策だった。そして昭和19年9月から20年に徴用(国民徴用令)という法的な強制力がある動員を行った。朝鮮半島では徴兵も徴用も、ギリギリまでかけなかったが、法的な枠の中で徴用をかけた。徴用で来た人たちは、民間の職場で給料もらって、かなり待遇が良くて、働いたというのは事実」と、元佐渡鉱山採鉱課長がまとめた資料などをもとに解説していた。
なお今後はユネスコの諮問機関であるイコモスが来年にも現地調査などを行い、その後に開かれるユネスコの世界遺産委員会で世界遺産への登録が決定する運びとなる。
(文・石塚健)