佐渡汽船株式会社(新潟県佐渡市)が株式会社みちのりホールディングス(東京都)などから出資を受け、上場廃止でみちのりホールディングスの子会社に
佐渡汽船株式会社(新潟県佐渡市)は7日、株式会社みちのりホールディングス(東京都)、株式会社第四北越銀行(新潟市中央区)を割当先とする第三者割当増資による経営支援を発表した。佐渡汽船はみちのりホールディングスの子会社となる予定。
3月25日に開催予定の佐渡汽船の定時株主総会で決議されることを前提条件として、みちのりホールディングスを割当先とする普通株式(約6.8億円)およびA種種類株式(約5.2億円)、第9回新株予約権(行使価額3億円)を発行し、合計最大15億円の出資による支援を受ける。また、第四北越銀行を割当先とするB種種類株式(15億円)を発行し、同行からの振込金を同行に対する借入金の弁済に充当する方法により、金融支援を受け予定。
みちのりホールディングスへの普通株式の発行により、みちのりホールディングスは、発行時点において、佐渡汽船の議決権の約66.7%を保有する株主となる予定。
その後、佐渡汽船は株主を、みちのりホールディングスならびに現在の大株主である新潟県、新潟県佐渡市、第四北越銀行、佐渡農業協同組合のみとする株式併合を実施し、佐渡汽船は上場を廃止する。また、当面の間、航路や運航ダイヤは従来通りとなる。
みちのりホールディングスは、戦略的に強化する領域として、観光客の増加に関するサービスのデジタル化とマーケティングや、佐渡島の産品の本土への輸送・Eコマース対応も含めた本土からの佐渡島への輸送を挙げている。
みちのりホールディングスは、企業価値の向上などを目的とした経営支援を実施する株式会社経営共創基盤(東京都)が2009年に設立した会社で、交通・観光事業者の株式を保有し、それら事業者に対する長期的かつ持続的な経営支援を行うことを事業としている。これまで11の交通・観光事業グループの事業を譲り受け、経営改善を行ってきた。
みちのりホールディングスからの出資を通じた経営支援が実行された後、佐渡汽船の尾﨑弘明代表取締役社長は退任し、みちのりホールディングスを中心とする新たな経営体制が発足する。
経営支援を受けることになった経緯について、佐渡汽船の尾﨑代表取締役社長は、「佐渡汽船は佐渡島内の利用減少や観光客の減少などの事業環境の変化により、収益が悪化した。また、大型船舶への投資により、債務負担が増大していたところに、新型コロナウイルス影響により、予約のキャンセルや佐渡市民の移動自粛が重なり、業績に大きな打撃を受けた。佐渡島と本土を繋ぐ唯一の公共交通機関として、安定した運行を維持するために事業の改善を担ってくれる支援先を探索した結果、みちのりホールディングスから出資を通じた経営支援を受ける予定となった」と話した。
一方、新潟県の花角英世知事、新潟県佐渡市の渡辺竜五市長、新潟県上越市の中川幹太市長は7日、連名で以下のコメントを発表した。
佐渡汽船は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響などにより、厳しい経営状況が続く中、様々な経営改善策に取り組むとともに、第三者出資の検討を進めてきておりましたが、このたび、みちのりホールディングスと出資契約を締結した旨の発表がありました。これにより、来年度以降の事業継続に一定の目途が立ったものと受け止めております。
みちのりホールディングスは、これまで全国11社の公共交通事業者に対して、事業再生などを行ってきた実績があり、このたびの出資においても、地元自治体としっかり連携しながら、佐渡島と本土を結ぶ佐渡航路を長期にわたって維持・発展させていくと伺っており、県、佐渡市、上越市、佐渡汽船とともに、佐渡航路の維持確保及び活性化に向けた協定を結ぶことを予定しております。
みちのりホールディングスが、これまでに関わった事業再生などを通じて培ってきた様々な誘客促進や利便性向上などのノウハウを佐渡航路に展開することにより、地域全体の活性化につながることも期待しております。
また、地元自治体といたしましては、みちのりホールディングスや佐渡汽船と連携し、「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録の推薦を契機とした更なる観光誘客や持続可能で元気な島づくりとともに、佐渡航路の維持確保及び活性化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。