デンカ株式会社（東京都）が２０２２年３月期第３四半期決算（連結）を発表、第３四半期連結累計期間として過去最高の利益

デンカ株式会社（東京都）は７日、２０２２年３月期第３四半期決算（連結）を発表した。

売上高は２，８３９億７，７００万円と前年同期に比べ２１９億９，２００万円（８．４％）の増収となった。

利益面では、成長分野製品の伸長により、営業利益は３２１億８，１００万円（前年同期比４１億５，０００万円増、１４．８％増益）、経常利益は３００億９，７００万円（前年同期比２７億９，７００万円増、１０．２％増益）、親会社株主に帰属する四半期純利益は２２９億１，１００万円（前年同期比４０億２，１００万円増、２１．３％増益）となり、それぞれ第３四半期連結累計期間として過去最高となった。

セグメント別の概要は以下の通り。

 

電子・先端プロダクツ部門

球状アルミナや高純度導電性カーボンブラックはxEV関連を中心に販売が伸長し、電子部品・半導体関連分野向け高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーは５G関連やデータセンターなどの世界的な需要の拡大により好調に推移した。

このほか、自動車産業用向けの金属アルミ基板ヒットプレートや工業用テープの販売は増加し、LED用サイアロン蛍光体“アロンブライト”の販売も堅調だったが、高信頼性放熱プレート“アルシンク”は電鉄向けの需要が低調だった。

この結果、売上高は６６１億６，０００万円（前年同期比９５億２，２００万円１６．８％増収）となり、営業利益は１３７億９，４００万円と前年同期に比べ３５億７，８００万円（３５．０％）の増益となった。

 

ライフイノベーション部門

新型コロナウイルスの抗原迅速診断キット“クイックナビ™ -COVID19 Ag”は、感染症対策の一環として迅速な抗原検査体制の充実を図る厚生労働省の配布事業に供給したこともあり販売数量が増加し、その他の試薬についても国内、輸出とも順調な販売となった。一方、インフルエンザワクチンは、世界的な新型コロナウイルスワクチンの増産により生産用資材が不足したことに加え、ワクチン製造株の増殖性などの影響により生産数量が前年を下回ったことから、出荷が前年を下回った。

この結果、売上高は３６１億５，７００万円（前年同期比４億５，３００万円、１．２％減収）となり、営業利益は１１９億３，９００万円と前年同期に比べ１８億８，１００万円（１３．６％）の減益となった。

 

エラストマー・インフラソリューション部門

クロロプレンゴムの販売は、世界経済の回復とともに産業用途などの関連産業向けの需要が増加に転じ前年を上回ったが、米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマー社はハリケーン「アイダ」による上流サプライチェーンの混乱があり、生産停止を余儀なくされるなど影響を受けた。また、肥料や農業・土木用途向けのコルゲート管、耐火物・鉄鋼用材料の販売も堅調だったが、セメントや特殊混和材の販売は前年を下回った。

この結果、売上高は７７５億３，３００万円（前年同期比１０９億７００万円、１６．４％増収）となり、１１億６，４００万円の営業損失（前年同期は営業損失２０億７，９００万円）となった。

 

ポリマーソリューション部門

ABS樹脂、デンカシンガポール社のMS樹脂やスチレンモノマーの販売は堅調に推移した。また、合繊かつら用原糸“トヨカロン”は需要の回復により前年を上回り、雨どいや食品包材用シートおよびその加工品の販売も概ね順調だった。

この結果、売上高は、原材料価格の上昇に応じた販売価格の見直しもあり、９２７億１，７００万円（前年同期比１４０億８，３００万円、１７．９％増収）となり、営業利益は６２億６，７００万円と前年同期に比べ８億７，４００万円（１６．２％）の増益となった。

 

その他部門

YKアクロス株式会社などの商社は、需要の回復により取扱高は増加したが、収益認識に関する会計基準の適用により減収となった。

この結果、売上高は１１４億８００万円（前年同期比１２０億６，６００万円、５１．４％減収）となり、営業利益は１５億２，６００万円と前年同期に比べ９億７００万円（１４６．６％）の増益となった。

一方、昨年１１月８日に公表した通期連結業績予想の修正も発表。

売上高を３，９５０億円から３，８５０億円に、営業利益を４４０億円から３６０億円に、経常利益を４００億円から３６０億円に、親会社株主に帰属する当期純利益を２９０億円から２６０億円に修正した。