新潟県燕市が合併後最大規模となる2022年度当初予算を発表、鈴木力市長「脱炭素関連の新規事業が多い点が最大の特徴」
新潟県燕市は9日、2022年度当初予算を発表した。一般会計予算の総額は455億4,700万円(前年は399億7,900万円)、借換債を除く実質的な予算規模は384億8,531万円(同354億9,525万円)、実質的な予算に国の補正予算を足した執行ベースでの予算規模は393億4,607万円(同364億6,422万円)となり、いずれも合併後で最大の予算規模となった。
予算増加の主な要因は、国費を活用したワクチン接種などの感染症対策に加え、ふるさと納税を財源とする全天候型子ども遊戯施設の整備や、吉田トレーニングセンター(ビジョン吉田)の大規模改修といった建設事業の増加が挙げられる。
なお、これまでの最大は2014年度で、分水消防署建設や旧・吉田庁舎の整備などが盛り込まれていた。
今年度の重点施策として燕市では、新型コロナウイルスの影響を受ける社会経済活動の回復、地域社会のDXと脱炭素社会の推進、前述の施設整備をはじめとした地方創生・地域活性化の3点を掲げ、これに加えて、通水100周年を迎える大河津分水の記念事業を特別事業として盛り込んだ。
1点目の社会経済活動の回復としては、これまでにも実施してきた需要喚起策「燕応援フェニックスクーポン」の第4弾発行(1億6,781万円)のほか、新規で、事業者の経営改善計画などの策定にかかる支援制度の創設などを行う「中小企業持続化支援事業」(7,501万円)。また、シェアオフィス施設の整備事業者への支援を拡充し、吉田・分水地区へも誘導を図っていくという。
2点目のDX・脱炭素社会推進に関しては多くの新規事業が開始される。例えば、カーボンニュートラル(CN)やSDGsに取り組む事業所への助成制度創設(514万円)、市内での風力などの次世代エネルギー活用可能性の調査(1,644万円)など。市民生活に近いところでは、買い物時のレジ袋の代わりに指定ゴミ袋を1枚から購入可能とする「指定ごみ袋のレジ袋化事業」(30万円)が新規で予算に追加された。
燕市の鈴木力市長は「世の中がコロナ禍を契機に大きく変わっており、その1つがDXで、2021年度の段階で柱の1つとして取り組みを開始した。2022年度はこれに加えて脱炭素が重要になっていく。脱炭素関連の新規事業がかなり多くなっているが、今年度の最大の特徴かもしれない」と強調する。
「中小企業を多く抱える燕市としては、(脱炭素に)取り組まないことで、サプライチェーンから切られてしまうという危機感を持つべきだと考えている。この地域が『しっかりと取り組んでいる』ということを発信することが、産業活動を支えることになる」(鈴木市長)
3点目の地方創生や地域活性化の事業として主なものは、前述の全天候型子ども遊戯施設の用地取得や基本設計(5億7,254万円)、スポーツランド燕内へのスケートボード場整備(2,860万円)、道の駅国上のリニューアル(2,600万円)など。また、第3次燕市総合計画策定事業(145万円)も含まれている。
(文・鈴木琢真)
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