「ニューズ・オプエド」に、新潟国際情報大学教授の吉澤文寿氏と政治外交ジャーナリストの原野城治氏が出演し、佐渡島の金山について語る
10日18時から19時まで配信されたニュース番組「ニューズ・オプエド」に、新潟国際情報大学教授の吉澤文寿氏と政治外交ジャーナリストの原野城治氏が出演し、特集「佐渡島の金山 ユネスコの国内推薦決定」について語った。
吉澤氏は、佐渡鉱山で働いていた朝鮮半島出身者の労働環境(低賃金、一部の労務管理者の極端な差別意識など)やストライキの事例などについて紹介。
続けて、戦後に使用者側である企業と中国・朝鮮出身の労働者が和解したケースなどを紹介していた。具体的には、原告の遺族が訴訟を起こした新日鉄釜石のケースでは、遺骨や未払い金返還、慰霊祭参加費の会社側負担などで和解したという。また不二越が詳細は不明だが和解したという。
さらに「秋田の花岡鉱山のケースでは、中国人が強制連行で日本に連れてこられた。この花岡事件で中国人労働者418人が犠牲になって(亡くなって)、戦後訴訟が行われて、その中国人原告と鹿島建設が和解した。例えば花岡平和友好基金が設立されるとか、旧花岡町はいまは大館市だが、郷土資料館、花岡平和記念館があって、花岡事件から和解に至るまでの経緯がわかる。慰霊碑も建てられていて市主催で慰霊式を毎年やってるようで、そこに中国から、今はコロナ禍で来れないが、中国から毎年被害者遺族の方が訪れるということもある。地域で強制連行の歴史について語り継いでいるところが参考になる事例だと思う」と話していた。
一方、今後、ユネスコの世界遺産登録に向け日本政府がどのように行動すべきかについて、吉澤氏は、「日本政府は作業チーム(タスクフォース)をつくったが、まずは世界遺産委員会を説得できるような形で登録を目指す必要がある。そこ(その形)には韓国との交渉なども含まれてくると思う。新潟は韓国の直行便もある街で、(そうしたことを踏まえても)グローバルに説得できるような論理で登録を目指すということがよいのではないかと思う。強制労働という言葉を使うかどうか議論するとしても、当時の朝鮮人労働者がいかなる経験をしたかということについて、広く合意を得るようでなければいけないと思う」と話していた。
また原田氏は、「中国が2015年に世界記憶遺産に南京の問題(南京大虐殺の記録)を登録したとき、日本は非常に猛烈に文句を言った。『こういう政治的な問題を取り上げるべきじゃない』と。しかし今回(日本が)やってることは韓国の反発を引き起こすような、そういうような形で、割と拙速で決めてきたようなところもある。ダブルスタンダードじゃないかって言われてしまうことがあると思う。つまり『日本は中国に対して政治的な問題をユネスコの現場に持ち込むなと言いながら、日本が今回やろうとしてることは逆に政治的な問題を、あえてかき回すような形で提案してるんじゃないか』と(言われる可能性がある)」と話していた。
続けて日本のユネスコ国内推薦決定の過程について「安倍さんと林外務大臣の山口戦争的な要素が背景にある」とし、日本の今後の進め方については、「『韓国では保守は親日、革新が反日』という構図で(日本では)言っているが当てにならない。朴槿恵政権のときに安倍政権はこれでうまくいくと思ってやったら肘鉄外交を食らった。だから、(韓国与党が保守革新のいずれかにかかわらず)もうちょっと慎重にことを運ぶべきではないかかと思っている」と語っていた。