新潟三越が22日の営業を最後に閉館。今後の古町はどうなる?
新潟市・古町にある新潟三越が22日の営業を最後に閉館し、113年の歴史に幕を閉じる。
一方、新潟三越のある古町は、江戸時代から湊町新潟の中心地として栄えてきたが、郊外大型店や、万代地区の商業施設との競争で衰退の一途を辿り、2010年1月に老舗書店の北光社、2010年6月に大和新潟店、2016年1月にラフォーレ原宿・新潟が撤退。さらに古町通には空き店舗が多数ある状態だ。
ただ、その一方で、最近は、新たな賑わい創出に向けた動きも出てきている。その一つが、新潟三越のすぐそばの大和新潟店跡地に建ち、今年5月にオープンする複合施設「古町ルフル」だ。新潟市の本庁機能の一部や、金融機関などが入居することから、古町の賑わいが増すことが期待される。
また、古町ルフルのすぐ隣に、新潟古町まちづくり株式会社と、新潟市古町七番町商店街振興組合が整備を進めた観光情報発信拠点「新潟古町まちみなと情報館」が3月20日オープンした。
新潟古町まちづくり株式会社は昨年8月、国土交通省により都市再生推進法人に指定された。奇しくも新潟三越の閉店(3月22日)と時期が重なったが、以前から同社は、古町ルフルのオープンに焦点を合わせ、新潟古町まちみなと情報館のオープンに向け準備を進めてきたという。
同社では、新潟古町まちみなと情報館がたつ(現在アーケードを改修中の)古町通7番町商店街のスペース(道路)を規制緩和の制度などを活用しながら、今後、様々な賑わい創出事業やプロモーション事業を展開していく予定だ。
さらに、新潟三越のすぐ近くにある、北光社の入っていたビルの解体工事が今年2月に始まり、今後、定住人口の増加につながるマンションの建設などが見込まれているほか、新潟三越跡地の再開発にも注目が集まる。
今後は商業の古町から歴史のある古町に期待
一方、今後の古町の活性化には、商業施設(買い物)ではなく、歴史を生かした賑わい創出(まち歩き、歴史ツアーなど)が重要との声が少なからずある。
昭和初期に新橋・祇園と並び「三大花街」と呼ばれた、古町花街(花街とは座敷で芸妓の舞などを楽しめる店のある街)には、料亭、茶屋、置屋(芸妓が籍を置いて居住する場所)の「三業(三業種)」が多数あり、文人や政財界の有力者が集ったという。
その後、第二次世界大戦の空襲がなかったことなどから、三業で使われていた木造家屋は今も古町に数多く残り、街を情緒あふれる景観にしている。また、往時には400名の活躍していた古町芸妓は今も20名以上が活躍し、十本の指に入る日本有数の花街という。
こうした花街文化は有力な観光コンテンツだ。
また、「北前船最大の寄港地」として栄えた新潟湊(古町の近く)には、旧齋藤家別邸、旧小澤家住宅、日和山、小路などの歴史的価値のある建物や場所が今もあり、酒田などほかの寄港地とともに日本遺産に認定されている。
おりしも、昨年の開港150周年で、湊町新潟の歴史に多くの市民が関心を抱くようになっているほか、先述の新潟古町まちみなと情報館の2階で、新潟港の歴史を紹介するコーナーを開設している。
今後の歴史を生かした賑わい創出に期待したい。